コロナで東南アジアのワイヤハーネス工場が低操業、電線各社はコスト増を懸念

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電線各社、代替生産急ぐもコスト増懸念

東南アジアでの新型コロナウイルス感染再拡大で、現地にある日系ワイヤハーネス(組み電線)工場の稼働率が低下している。各社は他の地域で代替生産を急ぐが、増産余地に限りがあり、すべて吸収するのは難しいとみられる。代替生産によるコスト増も予想され、東南アジアのコロナ影響が国内電線メーカーの業績押し下げ要因に浮上してきた。(山田邦和)

東南アジアでは6月以降、感染力の強いデルタ株が急速に拡大。足元でも収束の兆しが見えない。

同地域には住友電気工業と矢崎総業、古河電気工業、フジクラがワイヤハーネスの製造拠点を置く。このうち拠点が最も多いベトナムでは8月下旬から、1日当たりの新規感染者が連日1万人を超え、厳しい移動制限が敷かれている。

製造業の場合、従業員が工場などに寝泊まりする「工場隔離」が操業の条件。従業員の人数も通常より少なくする必要があり、交代も認められない。

ワイヤハーネスは電線を束ねる工程で機械による自動化が難しく、「人海戦術」に頼る必要がある。だが工場隔離でそれが難しくなった結果、住友電工や古河電工などでは「足元で稼働を抑えている拠点もある」という。中部の都市ダナンにあるフジクラの拠点では移動制限で従業員が出勤できず、操業を停止している。またベトナム以外に「マレーシアでも生産に影響が出ている」(古河電工)。

トヨタ自動車は9月に世界で当初計画の4割(36万台)を減産すると発表し、複数の部品の調達が困難になったことを理由に挙げた。シート関連部品やワイヤハーネスを指しているとみられる。

電線各社も対応に努めている。住友電工は「過去にも代替生産の経験はある。今回さらに広げられるように調整している」と話す。古河電工も「工程途中のものや製品在庫を確保して、安定供給が行えるようにしたい」とする。

ただ代替生産ですべてを補うのは難しいとの見方が多い。各社の東南アジア依存度が、高い企業で3割を超えるためだ。野村証券の松本裕司アナリストは8月発表のレポートで、ワイヤハーネスの販売量が四半期ベースで予想より10%減少した場合、営業利益へのマイナス影響は住友電工で約100億円、古河電工で約15億円、フジクラで約10億円と試算した。これとは別に代替生産に伴うコスト増や、製品の空輸による輸送費増も発生する。

一方で松本氏は下期に自動車の挽回生産が予測されるとして「通期での影響は限定的」と指摘する。事態の改善には東南アジアでのコロナ沈静化が必須だが、現時点でその見通しは立っていない。

日刊工業新聞2021年9月6日

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ワイヤーハーネス

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