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スポーツ観戦を快適に、自席にいながらスマホで飲食注文できるシステムの仕組み

スポーツ観戦を快適に、自席にいながらスマホで飲食注文できるシステムの仕組み

NESICが京セラドーム大阪で実証したモバイルオーダーサービス「スタメシGO」。チラシの2次元コードでアクセス

NECネッツエスアイ(NESIC)は、LINEの対話アプリケーション(応用ソフト)「LINE」を利用し、チラシなどに掲載された2次元コード経由で読み取った飲食メニューから注文・キャッシュレス決済までをスマートフォン上で完結できる「モバイルオーダーサービス」を始めた。まずはスポーツ観戦などのスタジアム内利用を想定。観戦者が自席に居ながら事前にスマホで注文から決済までを済ませて店舗に出向き、待つことなく、3密(密閉・密集・密接)を避けて商品を受け取れるようにする。

スマホで事前に注文・決済するサービスは一般に専用アプリが多い。新サービスは、LINEをインターフェースとして利用。チャットボット(自動応答ソフト)とのやりとりやプッシュ通知などの使い慣れた操作環境で顧客と店舗をつなぐことで、サービスの利便性や汎用性が高まることに着目した。

スタジアムの場合、顧客はスマホで2次元コードを読み込んで利用契約に同意。手順に沿って画面をスクロールしながらメニューを選び、注文・決済を済ませてから店舗に出向いて商品を受け取る。

店舗側はタブレットやキッチンプリンターなどで注文を確認し、調理の進捗(しんちょく)状況なども管理できる。店舗側の状況や要望に応じて、インターネットのゲートウェー装置や安全性の高い閉域網などを別途用意する。

契約形態はチェーン店との一括契約のほか、スタジアムやフードコート、ショッピングモールを管理する運営会社や不動産会社などとの包括契約がメーンとなる。各事業者は独自ブランドでサービス展開ができる。

料金は10店舗までが月額40万円(消費税抜き)の固定制。数が増えるほど割安となり、売上高比でチャージする他社サービスと差別化する。2021年度は100店舗程度の採用を目指す。

事業化に先駆けて、6月に京セラドーム大阪(大阪市西区)で実証実験を兼ねてサービスを提供。野球観戦時の攻守切り替えで発生する飲食店での混雑や待ち時間を削減し、3密の回避も含めて顧客満足度の向上に役立てた。

将来的には、注文データの収集・蓄積・人工知能(AI)分析を行えるプラットフォーム(基盤)として発展させ、マーケティング支援サービスも展開する。データ利活用の促進によって、店舗運営の効率化や住民サービスの改善など街全体のデジタル化を推し進める。新サービスを含む街づくり関連サービス全体で2025年度に売上高500億円を目指す。

日刊工業新聞2021年9月2日

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