トヨタ・スズキが自動車に見出す新たな価値。カギは自治体との連携

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豊田市のイベントでFCキッチンカーを使って飲食物を提供した

トヨタ自動車など自動車関連企業は自治体と連携し、車を活用した社会課題解決の取り組みを進める。トヨタと愛知県豊田市は災害時の電動車による外部給電普及に力を入れる。同市のイベントで燃料電池(FC)を活用したキッチンカーやオフィスカーなどを紹介。スズキや東海理化、浜松市などはオフィスカーのレンタルサービスの実証実験に取り組む。静岡県磐田市でも取り組みをアピールした。(名古屋・山岸渉)

トヨタは8月上旬に開いた豊田市のイベントで、FCキッチンカーとFCオフィスカーを試作車として紹介。FCキッチンカーはFCを調理の電源として活用。FCオフィスカーは車内でオンライン会議やテレワークなどができる特徴をアピールした。トヨタの山下顕グループ長は「お客さまの声を聞きながら改良し、実用化の枠組みを検討していきたい」と取り組み方の方針を話す。

7月末の同市のイベントではトヨタの電動車を効率よく配車できるアプリケーション(応用ソフト)を使うなど会場に電動車28台を集めた。有志による給電ボランティアが協力した。電動車はキッチンカーなどの電源として利用した。太田稔彦豊田市長は「平時に皆で電動車の使い方を共有することが重要」と強調した。実証による経験とノウハウの積み上げが、災害で停電に陥るなど非常時対応に生きるとみる。

一方、スズキや東海理化、浜松市、ウィーウィル(浜松市中区)で構成する「浜松テレワークパーク実現委員会」は、コロナ禍でテレワークが増えたことでオフィスカーを使った新たな働き方を提案する。オフィスカーを貸し出し、駐車場などでテレワークをしてもらう。仕事をする環境の変化が新ビジネスの発想などにつながることを期待する。

同委員会は8月中旬、磐田市内の飲食店「凜や磐田店」でテレワーク体験イベントを開いた。同店の駐車場にスズキ車を用意。同店で料理などを注文した参加者に机など作業環境を整備した車両でテレワークを体験してもらった。

草地博昭磐田市長と作家の沢渡あまね氏のテレワークなどに関する対談もオンライン開催した。沢渡氏は「磐田市の企業はモノづくり力が強みだが、固定的な働き方が課題。ITやワーケーションなどでさまざまな人とつながることで新たな発想が生まれる」と指摘する。草地市長は「磐田市はスポーツと文化の力もある。モノづくりと組み合わせる場を行政が支援できれば、より発展できる」と語った。

豪雨や地震など災害の頻発や、コロナ禍といった事業環境の変化は激しい。それだけに新しいニーズも生まれる。車関連各社は自治体などと連携しながら車の新たな付加価値を探る。

日刊工業新聞2021年8月20日

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