再生エネの切り札「洋上風力」をめぐる海運・造船業界の胸算用

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商船三井が新造中の大型作業支援船の外観イメージ

再生可能エネルギーの導入拡大の切り札と期待される洋上風力発電をめぐり、海運・造船業界に商機が広がっている。商船三井は計50億円程度を投じて2025年までに発注残を含めて作業支援船(CTV)10隻程度のプロジェクトに関与する。三井E&S造船(東京都中央区、船津勇社長)は、波の影響を受けにくい資機材輸送船を開発し、22年度以降の受注を目指す。アジアでも洋上風力発電市場は広がる見通し。各社は海外需要もにらみ、新たな収益源に育てる。

CTVは10―20人など規模が小さく、国内沿岸近辺の洋上風力発電のメンテナンスで活用する。海外ではCTVが油ガス田のメンテナンス用に使われたこともあり世界で300隻ほどあるとされるが、日本では数隻しかないという。

また商船三井は大型作業支援船(SOV)で25年までに3―4隻の新造を視野に入れる。台湾の大統海運と最大約90人程度が乗船できるアジア初のSOV1隻を新造中で22年前半の完成を予定。デンマークの洋上風力大手オルステッドグループが台湾西方の中台海峡で計画するプロジェクトへ参画するのに合わせる。

一方、日本郵船は4月、秋田曳船(秋田市)と洋上風力発電向けに必要なCTV事業で協業を検討する覚書を締結した。日本郵船はスウェーデン企業との協業で得たCTVに関するノウハウを生かす。川崎汽船は川崎近海汽船と共同で洋上風力発電を対象とした作業船事業会社を設立した。

海運会社が自己昇降式作業台船(SEP船)やCTVの確保に動く中、造船業界も商機を取り込む。

三井E&S造船は全長20―30メートルほどで風が強い海域でも揺れにくく、発電設備の運用管理に必要な作業員や資機材を輸送する新型船を展開する。航行時の安定性を高め、同設備の作業員の船酔い対策にもつなげる。グループの新潟造船(新潟市中央区)で建造することを想定する。

日刊工業新聞2021年8月31日

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