日本の“国民車”「アクア」の新型。開発者が語る進化を支えるカギとは?

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チーフエンジニア 鈴木啓友氏

2011年に誕生したアクアは日本のマーケットで長く愛された国民車とも言える存在だ。新型アクアは「エコカーのその先へ」をテーマに、毎日乗る車だからこその走りや安全性など全てをアップデートした。燃費の良さだけでなく、ハイブリッド車(HV)ならではの楽しさも目指して開発した。

走りと快適さをバランス良く高めたハイブリッドシステムでは、燃費を従来比20%向上させた。世界のHVの中でトップクラスの燃費を実現した。エンジンは小型軽量化を徹底的に追求し、高速燃焼で最大熱効率を40%以上に高めた。

進化を支える鍵となったのは、新たに開発したバイポーラ型ニッケル水素電池だ。従来型のニッケル水素電池に比べて通電面積が広く、シンプルな構造で電気抵抗が低くなり、大きな電流を一気に流せる。さらに構造部品の点数を減らして電池をコンパクトにし、より多くのセルを搭載できるようにした。従来型と比べて約2倍の高出力を実現する。豊田自動織機と共同開発した。

電気だけでの走行可能速度域が向上し、ちょっとした買い物や友人との外出などで電気自動車(EV)走行が可能。静かで力強い運転ができる。

加減速の味付けも良くなった。「快感ペダル」という機能を設け、新感覚の走りを味わえる。アクセルを踏むと気持ち良く加速するなどレスポンスが良く、パワフルでスムーズな走りができる。思わず声が出てしまうほど気持ちの良いスムーズな加速を実現する。上質な乗り心地にも貢献する。

アクセルを緩めると回生ブレーキによって、自然な形で滑らかに減速する。ペダルの踏みかえ頻度も減るなど、長い下り坂でも車速を維持し、安心感を高める。運転に不安を感じていた人でもより安心・快適に運転できる。

電動車らしい軽快で上質な走りを実現するためボディーと足回りにもこだわった。新設計思想「TNGA」プラットフォーム(車台)をベースに車体の軽量化、高剛性化を両立し、サスペンションも一新した。静粛性では車内の会話明瞭度を同15%高めた。

安全面では最新機能などを積極採用した。予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を全グレードに標準装備した。ステアリングやアクセル、シフト操作などまで含めた駐車支援機能「アドバンストパーク」も採用した。

記者の目/ヤリスと2枚看板、国内深耕

トヨタは新型アクアと同じ小型車「ヤリス」の2車種ですみ分けを明確にする。安全性や上質感などが特徴のアクア、キビキビと走り運転を楽しめるというヤリスとで異なる顧客層を狙う。小型車はホンダ「フィット」や日産自動車「ノート」といったライバルがひしめく。トヨタは新型アクアとヤリスで需要にきめ細かく対応し、競争を勝ち抜く考えだ。(名古屋・山岸渉)

アクア Z(ハイブリッド、FF)

全長×全幅×全高=4050×1695×1485mm

車両重量=1130kg

乗車定員=5人

エンジン=直列3気筒

総排気量=1490cc

最高出力=91馬力(エンジン)、80馬力(フロントモーター)

変速機=電気式無段変速機

WLTCモード燃費=1ℓ当たり33.6km

価格=240万円(消費税込み)

日刊工業新聞2021年8月18日

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