トヨタの世界生産は単体初の1100万台へ。達成に不可欠なサプライチェーン維持
トヨタ自動車が2021年の世界生産計画(ダイハツ工業、日野自動車を除く)を年初計画比約5%増の約980万台に上方修正したことが分かった。世界的な半導体の需給逼迫(ひっぱく)やコロナ禍による部品供給不足のリスクはあるが、経済回復に伴う旺盛な需要を見込み生産計画を積み増す。また22年の世界生産計画は1100万台規模に設定した。トヨタ単体で1000万台の大台を初めて突破する見通しだ。
主要部品メーカーに伝えた。21年の生産計画の内訳は、国内が年初計画比10万台増の約330万台、海外は同50万台増の約650万台。「RAV4」などグローバルで市場が成長しているスポーツ多目的車(SUV)を中心に、好調な販売が続くと見る。また、参考値として設定した22年の生産計画では、21年と比較して中国や米国、日本で生産台数が増える見通しだ。
一方、半導体や東南アジアでの新型コロナウイルス感染拡大による工場の稼働停止など部材供給リスクの影響は見通しにくい。増産基調の計画達成には、サプライチェーン(供給網)の維持が不可欠になる。調達部門と仕入れ先との情報を密にし、継続的に強化する方針だ。
トヨタは11年の東日本大震災で部品が不足したことをきっかけに、サプライチェーン全体の情報管理システムを構築。半導体など重要部品の在庫を厚くするといった対策が功を奏し、部材不足による影響を最小限に抑えて工場の稼働を維持している。
トヨタが発表した連結販売台数(ダイハツ、日野含む)は1―3月期が前年同期比5・3%増の220万8000台、4―6月期は同85・5%増の214万8000台だった。
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日刊工業新聞2021年8月18日