患者の身体的な負担少ない「光がん治療」。再注目のワケ

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PDTの手術。内視鏡検査とほぼ同じ方法のため患者にとって身体的な負担が少ない

MeijiSeikaファルマ(東京都中央区、小林大吉郎社長)は、レーザー光を使ってがんを治療する「光線力学的療法」(PDT)に力を入れている。この療法を使えるのは国内のみだが、PDTを導入している医師らによる学会発表を通じ、患者の身体的な負担が少ない治療法として海外から問い合わせが増加。海外での承認取得に向けた検討を始めた。2020年には楽天メディカルががん治療法「光免疫療法」の製造販売承認を取得するなど、光を用いた治療法が再び注目されている。(編集委員・丸山美和)

MeijiSeikaファルマは早期肺がんへの適応症として03年10月に承認を取得。その後、13年に原発性悪性脳腫瘍、15年に化学療法後に再発または放射線療法後にも残っている食道がんに適応を拡大した。

PDTでは光感受性物質の「レザフィリン」(一般名タラポルフィンナトリウム)という薬剤を患者に注射で投与する。レザフィリンには光に反応して活性化する特徴と、がん細胞(腫瘍)に集まりやすい特徴がある。投与後、内視鏡を見ながらプローブ(探触子)で患部に光を照射すると光化学反応が起こり、一重項酸素が発生して腫瘍や腫瘍血管が壊死(えし)する。方法が内視鏡検査とほぼ同じのため、患者にとって身体的な負担が少ない。食道がんでは、PDTを使った患者の9割弱でがんが消滅する結果を得ている。

脳腫瘍の場合は開頭手術をし、できる限り腫瘍を取り除いてから照射する。早期にこの療法を導入している施設でPDTをした人としなかった人の治療結果を調査したところ、PDTをした人の生存期間が平均で5カ月長い結果となっていた。

現状では約60の病院に導入されているが、PDTを使っている医師たちからは「PDTを使うことで、免疫が活性化する『免疫賦活化作用』があるのではという見解も出ている」(山田新PDT事業部長)という。

こうした新たな作用機序(メカニズム)の研究、PDTによる他のがんへの適応拡大に向けた研究は医師主導で進められている。子宮頸(けい)がんの前段階「子宮頸部異形成」や、早期肺がんの中でも末梢(まっしょう)型肺がんへの適応では、治験の最終段階にあり、1―2年後には承認申請したい考えだ。

20年9月には楽天メディカルが頭頸部がんを治療対象に「光免疫療法」の製造販売承認取得を発表した。PDTと似ているが、楽天メディカルは光感受性物質と抗体医薬品を使う点などが異なっている。

日刊工業新聞2021年8月19日

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