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産業機械市場に薄日。試される受注回復の持続力

産業機械市場に薄日。試される受注回復の持続力

日本製鋼所の新型中型電動射出成形機

日本産業機械工業会(産機工)が発表した1―6月期の産業機械受注高は、前年同期比21・4%増の2兆9465億2800万円だった。内需のうち製造業向けが6カ月連続で前年実績を上回ったのに加え、非製造業向けも5月から2カ月連続で増加した。新型コロナウイルス感染症の拡大が続いているものの、設備投資への影響は和らぎつつある。受注回復の持続力が今後試されそうだ。(孝志勇輔)

内需は前年同期比10・3%減の1兆5380億4200万円となった。製造業向けが同15・7%増の5469億5700万円。自動車や電子デバイスなどの好調を受け「設備投資(の意欲)が戻っている」(産機工)という。

非製造業向けも6月単月の受注高が前年同月に比べ4割弱増えた。電力分野のボイラ・原動機や、小売りや運輸などで運搬機械需要が伸びた。コロナ禍の影響が長期化していたが、ここにきて明るい兆しが出てきている。

一方、1―6月期の外需は前年同期比97・9%増の1兆4084億8600万円と大幅に伸びた。4月から3カ月連続で増加傾向が続く。コロナ禍からの回復が進んだ中国をはじめ、アジアや北米も堅調だ。6月単月にはプラント5件の受注も含まれる。

また主要約70社の1―6月期の輸出契約高は同2・0倍の1兆3477億2600万円だった。プラントの大型案件を受注したことが契約高を押し上げた。6月単月も前年同月に比べて5割弱伸びており、受注環境が改善しつつある。

産業機械の受注高はコロナ禍前の水準に戻ることも視野に入ってきた。ただ、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に向けた動きの活発化は、火力発電や製鉄分野の設備投資の重しとなる。これらの受注額が大きいだけに「(受注額の)急激な回復は見込みにくい」(同)としている。年間受注高の目安となる5兆円を維持するハードルは高いと言えそうだ。

日刊工業新聞2021年8月13日

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