ドローン通信で津波避難を支援!5Gで変わる都市生活の未来

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仙台市の沿岸部を飛ぶノキアのドローンシステム

環境保護・災害発生、リアルタイム監視

日本でのスマートシティー(次世代環境都市)構想の特徴の一つが、高度CCTV(閉回路テレビ)の導入検討だ。その主な理由が、データ分析、効率性の向上、セキュリティーの強化にある。

例えば、セキュリティー会社は、人工知能(AI)や第5世代通信(5G)、高精細な4Kカメラを搭載した飛行ロボット(ドローン)などのインダストリー4・0の先進技術を研究、応用し、首都圏のセキュリティーや救急救援活動の監視を大幅に改善している。

特にリアルタイムフィードを取り入れるためには、最大8Kの高解像度フィードの帯域幅要件をサポートする5Gネットワークの超高速大容量機能が必須になる。

5Gネットワークを活用したカメラは、映像を複数の方法で分析できるため、監視だけでなく、防災や救援活動など、他の用途にも活用可能だ。

ノキアは、こうした活用方法をバルト海で実験した。フィンランド環境研究所などと共同で、大量発生するアオコをドローンで動画撮影し、高解像度の動画をコンピュータービジョンに転送。衛星画像やバルト海を航行するフェリーによるクロロフィルの自動測定など、複数の情報を用いて専門家がリアルタイムで環境状況を監視、分析する試みだ。

アオコ以外にも、プラスチック廃棄物の広がりを追跡したり、油漏れの場所を特定したりするのにも利用可能。タイムリーな情報は、環境の専門家や研究者の状況認識力を高め、環境破壊を防ぐための迅速な判断に役立つ。このように、ドローンで撮影した映像を高速回線でデータセンターへリアルタイム伝送し、AIで分析する仕組みは、環境モニタリングに新しい可能性をもたらす。

仙台市も、ほぼ同様の活用方法を災害救助活動に応用した。津波避難警報の精度を改善するべく、ノキアは自治体と協力してHDカメラ、サーマルカメラ、スピーカーを装備した自律型の津波避難広報ドローンの実証実験を実施した。

全国瞬時警報システム(Jアラート)が津波警報を発表した際に、ドローンが上空を飛行し、沿岸部の住民にスピーカーから津波警報を発して避難場所へ誘導する。カメラ映像で避難者の動きや津波到達地点、沿岸部を監視する。ドローンは人口の多い地域でもリスクを抑えて飛行でき、困難な気象条件でも制御しやすい。

ノキアドローンネットワークはフィリピンの赤十字に災害時の救助用として採用されている。5Gを活用した自律型の津波避難広報ドローンにより、防災、減災活動の管理者を危険にさらすことなく、初動活動を支援する取り組みが強化できる。

◇ノキアソリューションズ&ネットワークス最高技術責任者 柳橋達也

日刊工業新聞2021年7月23日

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