ジェネリック大手の東和薬品がヘルスケア参入でやりたいこと
ジェネリック医薬品(後発薬)大手の東和薬品は、ヘルスケア事業に参入した。健康寿命の延伸につながる製品やサービスの創出を目指す。後発薬で培ってきた製剤力や販売網を生かし、外部の専門性を幅広く取り入れながら疾患の診断から治療、予防まで幅広く地域の健康づくりを後押しする。
2019年4月、新事業の推進母体として事業推進本部を設立した。同本部内に地域医療戦略を策定したり、スタートアップへの出資を審査したりする組織など5部門を整備した。これに先駆けて18年10月にTISとの合弁会社「Tスクエアソリューションズ」を設立。東和薬品グループでITを用いた業務改善のほか、デジタル技術を活用した地域医療の実現など新規事業の推進を担う。
東和薬品の事業推進本部長でTスクエアソリューションズ社長を兼任する天野雄介執行役員は「医薬品にとどまらない領域で社会課題の解決に貢献し、当社のブランド価値を向上したい」と語る。
後発薬数量は9月時点で国内シェア80%が目標としているが、その後の持続的な成長が課題だ。東和薬品は新たに展開するヘルスケア分野で「自社で足りない部分を外部の技術で補いながら相乗効果を出す」(天野執行役員)と方針を定める。
19年7月には国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)に共同研究拠点「健都ヘルスケア科学センター」を開設。循環器疾患の薬物治療に関する研究に加え、健康食品について生活習慣予防や健康維持に役立つ科学的根拠の構築に取り組む。
Tスクエアソリューションズは複数企業と提携し、難聴の早期発見などにつなげる対話型の機器やリハビリを支援する装着型ロボットを発売した。企業、大学、医療機関との共同研究を幅広く行いながら事業の具現化に向けた種まきを行う。天野執行役員は「新規事業を通じて将来の会社を担う若手社員の意欲向上につなげたい」と奮い立つ。