次世代太陽電池「ペロブスカイト」。自動化ロボットで性能安定へ
桐蔭横浜大学発ベンチャーのペクセル・テクノロジーズ(横浜市青葉区、宮坂力社長)は、次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」の性能を左右するペロブスカイト膜を自動で塗布する小型ロボットを開発した。成膜したペロブスカイト膜を使った太陽電池のエネルギー変換効率は15%以上を安定的に達成できる。工程の自動化で性能の安定化に役立つ。ロボットは年内に発売する予定。価格は100万円以下(消費税抜き)を想定する。
開発したロボットは縦3センチ×横3センチ×厚さ0・1センチ―0・5センチメートルの研究用素子の作製に使える。ドラフトチャンバー内に設置可能で、成膜時に発生する有機溶媒の蒸気を除去できることから、環境保全や安全性向上に役立つ。窒素を充填することで成膜の効率化につながる除湿・乾燥環境を整えられるほか、高価な設備を購入せずに済む。遠隔制御による成膜の自動化にも対応した。
従来、ペロブスカイト太陽電池は手作業で作製されていた。そのため、研究者によって太陽電池の性能にバラつきが生じていた。こうした手間や品質のバラつきをなくすため、ペロブスカイト膜の成膜技術を自動化する技術を開発した。
作製した素子のエネルギー変換効率が15%以上を安定的に達成することも実証した。性能の再現性が向上し、手作業による原料の損失分が減って生産コストが下がることから、ユーザーの需要が広がるとみている。
軽くて柔軟性があるペロブスカイト太陽電池は、電気自動車やIoT(モノのインターネット)機器への搭載などが見込まれる。電池の中核となるペロブスカイト膜を自動で成膜できるようになったことで、研究の加速が期待される。
日刊工業新聞2021年7月19日