次世代太陽電池「ペロブスカイト」、抗マラリア薬で変換効率が実用化レベルに向上

桐蔭横浜大学が改良に成功

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ぺロブスカイト太陽電池

桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授らはフィルム型の次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」の作製時に抗マラリア薬「アルテミシニン」を添加することでエネルギー変換効率の改良に成功した。厚さ126マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の薄いプラスチックフィルム素子でエネルギー変換効率が既存品より1・6ポイント高い21・1%を達成した。同効率が20%を超えたことで発電能力が向上。素子面積を小型化でき、携帯用発電素子やIoT(モノのインターネット)機器などに用途が広がる見込みだ。

一般的な太陽電池はエネルギー変換効率が約20%程度。既存の極薄フィルム型ペロブスカイト太陽電池のエネルギー変換効率は19・5%であり、実用化レベルに達している。抗マラリア薬を加えエネルギー変換効率が20%以上になったことで、性能面の付加価値が高まった。

桐蔭横浜大学発ベンチャーのペクセル・テクノロジーズ(横浜市青葉区)では、新型ペロブスカイト太陽電池の実用目的のモジュールを販売予定。22年にも中国の製造プラントが稼働する見通し。

ペロブスカイト太陽電池は、製造過程でペロブスカイト層と電荷を輸送する層を接合すると界面に化学・物理欠陥ができる。それに電荷がトラップされてエネルギー変換効率が下がるという課題がある。そこでバイオ材料や有機化合物などを加えて電荷のトラップを防ぎ、性能を向上させる研究が進んでいる。

研究グループは、酸素―酸素結合を持つアルテミシニンに着目。エネルギー変換効率の向上は、この酸素が同素子に含まれる鉛原子と相互作用して電荷のトラップが不活性化したためとみられる。

【用語】ペロブスカイト太陽電池=灰チタン石(ペロブスカイト)と同じ結晶構造を持つ有機無機混合材料でできた太陽電池。軽量で柔軟性があり、曇りの日や室内光でも発電できる。電気自動車への搭載や、窓ガラスや柱に設置するなどの応用が期待されている。

日刊工業新聞2021年6月28日

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