東大院が産学連携拡大で一手。「バーチャル研究室訪問」が妙案な理由

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東京大学大学院情報理工学系研究科による産学連携コンソーシアム「UMP―JUST」が連携拡大に向けて一手を打っている。7月に大学院生や企業の若手が集まり、新しいアイデアを生み出すイベントのアイデアソンを開く。参加企業がデジタル変革(DX)を進める上でのヒントを探る。教員紹介の動画配信の「バーチャル研究室訪問」を活用する会員企業も増えており、共同研究の機会創出につながっている。

UMP―JUSTは実質2年目で会員は三菱電機、IHI、第一生命保険、信金中央金庫など15社。産学の人材育成と産業界からの提案を基にした横断的な活動を手がける。例えばセキュリティーに配慮した異業種間のデータ活用ルールなど基盤整備の活動を行う。さらに産学の双方を知るコーディネーターが活動を支援しているのも強みだ。

7月10―11日開催のアイデアソンは産学混成の10チームを含む計約70人が参加する。今回は「現在の映像に人工知能(AI)を適用して描く未来の映像」「ユーザーごとに適した複数のホームページ情報の連携表示」についてのアイデア出しで競い合う。企業はDXを推進する上で組織の文化を変える難しさを抱えており、学生との議論を通じて若手・中堅社員をDXの推進役となるイノベーターに変える機会とする。

ベンチャー企業を東証1部企業に育て上げたACCESS共同創業者の鎌田富久氏らがコーディネート役となる。優れた案件は試作イベントのハッカソンや、産学共同研究につなげる計画だ。

また、バーチャル研究室訪問は、取材経験が豊富な編集者による教員インタビューの動画を会員企業に配信する。研究内容に加え、教員の考え方や姿勢、同席した大学院生の反応などを視聴でき、連携の機会につながる。こうした取り組みを通じて、産学連携の拡大につなげる。

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日刊工業新聞2021年7月1日

COMMENT

山本佳世子
編集局科学技術部
論説委員兼編集委員

企業の研究室訪問は教員にとって、「すばらしい共同研究に結びつくかもしれない」という期待がある。が、「何にもつながらないのに時間を取られて、それが何社も…」となると苦しいところだ。動画配信であればその問題が解決できるわけで、「なんとよいアイデアか」と思った。インタビュアーはプロだし、大学院生と教員の掛け合い(?)まで入って、研究室との相性もよくわかるだろう。企業側が「この研究室とならイノベーションを一緒に創出できる」と確信を持てれば、共同研究費の額の上乗せもあるだろう。この手法は他大学でもぜひ参考にしてほしい。

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UMP―JUST

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