東大、情報科学研究で博士学生に給与600万円

企業に資金提供を呼びかけ

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東京大学大学院情報理工学系研究科は4日、情報科学技術の教育・研究を産学連携で進める新組織を2020年度に立ち上げると発表した。同大の人工知能(AI)、数理・情報やデータサイエンス、バーチャルリアリティー、情報セキュリティーの各教育研究センターを活用し、潜在的社会ニーズに迫るプロジェクトなどを運営する。これをリードする博士課程学生に、通常の助教の給与を上回る年約600万円の給与支給を目指し、企業に資金提供などを呼びかける。

新組織「UMP―JUST」は文部科学省が進める「卓越大学院プログラム」と似た仕組みで、産業界が博士人材育成と共同研究の両方に、資金提供を含めて関わる。連携する企業を、メーカーなどの「技術専門」「技術総合」、金融・保険やサービス業などの「ユーザー」、「ベンチャー」の4グループに分け、それぞれ最適な協力関係を構築する。

情報科学分野は社会ニーズが高く、プロジェクトリーダーにふさわしい優れた博士課程学生であれば、採用の期待もあり企業は高額な資金提供を検討する状況にある。同大同研究科は日本で博士学生の経済支援が半端な状況を一気に変えることを狙い、すでに数社の合意を得ている。企業人のリカレント教育(再教育)も手がける。20年1月17日に東京都文京区の本郷キャンパスで説明会を開く。

日刊工業新聞2019年12月5日

COMMENT

山本佳世子
科学技術部
論説委員兼編集委員

博士学生の経済支援は、その人材の必要性を強く感じている企業が行うのが理想だと思う。これまで日本では様々な形で国費での支援が行われてきたが、企業における博士人材の評判向上につながらず、理想の循環はいつまでたっても生まれてこない。その中で、情報科学のトップレベルの研究者・技術者に対する人材ニーズの急騰を機に、新たな流れを生み出すことが、東大の情報理工学研究科なら可能かもしれない。博士教育に関わるすべての人が、この取り組みに注目するのではないか。

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