メガファーマと提携で業績伸ばす中外製薬。残る「原価率改善」という課題

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製薬売り上げ世界トップのスイス・ロシュとのアライアンス戦略を最大限に活用し、順調に業績を伸ばしている中外製薬―。自己資本比率80%程度を維持するなど、財務基盤も高い健全性を保っている。

同社が長年課題としているのが原価率の改善だ。02年にロシュと結んだアライアンス契約により、抗がん剤「アバスチン」や「ハーセプチン」といった製品群の販売権を獲得した一方で、ロシュからの導入品が増えるにつれて原価率が上昇。ピークの16年には52・2%まで達した。

中外製薬は原価率改善のため自社開発製品の海外売り上げを伸ばし、営業利益率の向上につなげていくという姿勢を貫く。自社製品のリウマチ治療薬「アクテムラ」が海外で大きく成長したほか、17年に米国で承認取得した血友病A治療薬「ヘムライブラ」は世界で成長し20年に売上高602億円を達成した。板垣利明最高財務責任者(CFO)は「ロシュの持つ販売網や開発資源を活用できることが、海外での自社製品の成長につながった」とし、アライアンスの意義を強調する。

こうした取り組みにより、20年の原価率は16年から約10ポイント低下し43%にまで改善。10%台で低迷していた営業利益率も、20年12月期は前期比6・3ポイント増の39・1%と大幅に向上している。

同期のフリーキャッシュフローは1354億円と19年12月期に引き続き1000億円以上を維持した。

中外製薬は自社開発のグローバル製品を毎年市場投入することを目標に掲げており、新薬の研究開発費を年々増やしている。改善してきたとはいえ、他の製薬企業の30%台前後の原価率と比較すると依然として高いのは否めない。

板垣CFOは「ロシュ製品を安定的な収益基盤として確保しながら、自社製品を海外の大きな市場で売っていくことが成長の両輪」とし、今後もバランスを保ちながら原価率をコントロールしつつ成長を目指す。

日刊工業新聞2021年5月27日

キーワード
中外製薬 財務分析

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