「会社に大小は関係ない」アイリスオーヤマ会長が貫いてきた理念

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大山健太郎会長

自ら需要生み出し、市場創造

「一歩、一歩、歩いてきた結果が今の姿になっているだけ。それだけのこと」。

コロナ禍においても右肩上がりの経営を続けるアイリスオーヤマ(仙台市青葉区)の大山健太郎会長は、常に先を見つめる。19歳で父から受け継いだ従業員5人の町工場は、2022年12月期に「グループ売上高1兆円」を目標に掲げるまでに成長した。だが大山会長にとっては「あくまで通過点」にすぎない。50年以上も経営者を務めてきたが、貫いてきた理念は時代が変わっても揺らぐことはない。

「会社の目的は永遠に存続すること。社会に貢献してこその企業である」

常に柔軟に顧客視点で考える「ユーザーイン発想」により新たなソリューションを提供する。

「一つのパイを取り合うのでなく、自らが需要を生み出し、市場を創造してきた。これこそがフィロソフィー。会社の規模に大小は関係ない。常に主体性を持って仕事に取り組んできた。主体性をいかに保つか。考え、努力していかねばならない」

顧客の潜在的ニーズをくみ取り、課題解決に寄与するためには素早い意思決定が求められる。コロナ禍を受け、昨年のマスク国内生産のスピード決断はその一例といえる。「明日のことは明日考えれば良い」

株式上場をゴールと定めていない。

「今すぐ消費者の役に立つには、上場してしまうと対応しにくい。上場が決して成功とは思っていない。納得できないところがある」

こうした理念の背景にはオイルショック後の苦い経験がある。需要が激変し、父親から受け継いだ東大阪の工場を閉め、家族同然の仲間をリストラせざるを得なかった。

「最大のピンチだった。このときの誓いが『いかなる時代環境に於いても利益の出せる仕組みを確立すること』で、五つある経営理念の1番目に据えた。“あのような思いを二度としてはならない”という決意であり、不変的な誓いだ。個々の商品そのものに頼るのでなく、環境変化に対応する仕組みづくりが大事なことを学んだ」

東北で生活して40年以上が過ぎ、自らを「完全に東北人」と呼ぶ。東北経済連合会副会長や東北大学総長顧問などを歴任、地域の活性化に尽力してきた。コロナ禍で人々が密を回避する動きがあり、地方分散の流れはラストチャンスとも言われる中、大山会長は変化を呼びかける。

「今後、東京一極集中は崩れるはず。企業は地方へのシフトを本気で考える時だ」(大矢修一)

【略歴】
おおやま・けんたろう 高校卒業後、64年(昭39)に19歳で父親が経営していたプラスチック成形の「大山ブロー工業所」を引き継ぐ。91年アイリスオーヤマに社名変更。18年から会長。大阪府出身、75歳。

日刊工業新聞2021年5月4日

キーワード
アイリスオーヤマ

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