GaN基板の売上高100億円超へ、住友化学が狙う領域は?
現状比3倍強 100億円規模の投資も
住友化学は5年後をめどに気相成長(HVPE)法による窒化ガリウム(GaN)単結晶基板の売上高を現在の3倍強の100億円超へ引き上げる。2022年にもパワー半導体向けに4インチサイズの単結晶基板の量産販売を始める。100億円規模の投資も視野に、24年頃に国内で本格的な4インチ基板拡大に必要な生産体制を整える。
同社は高輝度プロジェクターなど向けのレーザー光源用2インチ基板で高シェアを握る。技術蓄積を生かして4インチ基板を量産し、パワー半導体に用途を広げる。子会社のサイオクス(茨城県日立市)の既存設備で立ち上げ、22―23年に国内で次の設備増設を決める。生産能力は未定。6インチ基板の試作に成功しており量産技術確立を急ぐ。
GaN基板は、シリコン(Si)など既存のパワー半導体用基板に比べ、パワー半導体のスイッチング速度を大幅に速め、かつデバイスを小型化できる。パソコンやサーバー電源用途などを開拓し、将来は車載用途も狙う。
同社はHVPE法の課題の欠陥を従来の100分の1以下に低減する製造技術を確立しており、パワー半導体の要求品質に対応する。同技術は結晶の一部をジグザグに成長させ、欠陥同士をぶつけて打ち消し合う仕組みという。また、GaN基板上にGaN結晶をエピタキシャル成長させる際にHVPE法を用いてエピ層の品質を高める技術も開発した。
【関連記事】EV向け需要を狙うフェローテック、半導体基板の生産能力を2倍以上に!
日刊工業新聞2021年6月17日