原料価格の上昇、コンテナ不足…物流コスト高騰で相次ぐ素材各社の値上げ

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サウジアラビア「ペトロ・ラービグ」は黒字基調で、石化市況回復が続けば収益の柱になると期待される

自動車生産台数の回復や半導体市場の活況が素材メーカーの業績を押し上げている。日本製鉄や三菱ケミカルホールディングス(HD)など、多くの企業が2021年3月期通期業績予想を上方修正した。一方で重くのしかかっているのが、原料価格の上昇やコンテナ不足などに起因する物流コスト高騰だ。旺盛な需要に安定して応えるため、素材各社は製品の値上げを相次いで発表している。

塩ビで世界シェアトップの信越化学工業は国内向けの塩ビ価格を、3月1日納入分から引き上げる。原油価格は経済回復やサウジアラビアの減産発表の影響で上昇傾向にあり、塩ビの原料であるエチレンの価格にも響いている。

同社が国内の塩ビ価格改定を発表するのは、18年10月納入分以来2年5カ月ぶり。カネカや大洋塩ビ(東京都港区)、新第一塩ビ(同)も3月分から値上げを実施する方針を示した。

塩ビの需要はアジアでのインフラ整備や米国での住宅着工増加の影響で旺盛だ。信越化学工業の斉藤恭彦社長は1月下旬の会見で「20年12月から輸出市価が北米の価格を上回る現象が起きている」と語った。

住友ベークライトは半導体封止用エポキシ樹脂成形材料を3月納入分から値上げする。中村隆取締役専務執行役員は「半導体自体の(生産)数量がかなり伸びており、原料の引き合いは増えている。顧客への交渉に入った」と説明する。

三菱ケミカルHDによると、アクリル樹脂などの原料となるメタクリル酸メチル(MMA)のアジア価格は、20年7―9月のトン当たり1371ドルから、同10―12月は同1589ドルに上昇した。MMAで世界トップシェアを持つ同社は21年1―3月のアジアMMA価格を、20年10―12月並みのトン当たり1600ドルと想定。伊達英文取締役執行役常務は3日の決算会見で「足元のアジア価格は1700ドルだが、春節を控えて落ちるとみて1600ドルとした」と説明した。

今月11日からの中国の春節(旧正月)休暇前の買い控えで、市況が軟化した製品もあるなど、今後の動きに関しては予断を許さない。

住友化学の岩田圭一社長は1月下旬の会見で「今後の石化市況の予想は難しい」と述べた上で、サウジアラビアでのペトロ・ラービグ事業に関しては「現在の市況が続けば、業績を支える柱になる」と期待感を示す。

日刊工業新聞2021年2月17日

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