「従業員の顔色が良くなった」カーリース大手のAI活用

整備工場の業務効率向上

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AI採用で業務効率が大幅に向上した

カーリース大手の日本カーソリューションズ(NCS、東京都千代田区)は、人工知能(AI)を採用し、請求伝票の確認業務の約7割を自動化した。伝票は提携する全国の自動車整備工場から送られるもので、年間百数十万件と膨大だ。20人の熟練従業員が毎月10万件超の請求内容の正誤を確認してきた。現在は15人体制に絞り、残業も減らせた。同時に「整備会社の業務効率を高められた」(権田和彦執行役員)と双方に利点が生まれた。

緊張状態解放

「なんだか皆の顔色が良くなったようだ」。NCSでサービス部門を担当する権田執行役員は、AIの効果に自然と笑みがこぼれる。業務効率が大幅に向上し、「締め日には従業員に声も掛けられないぐらい張り詰めていた」という緊張状態から解放されたのだ。

NTTコムウェア(東京都港区)と導入したのは、人の判断を要する作業を置き換える「ルールベースAI」。年間百数十万の伝票の正誤確認を自動化し、残る3割も疑義のある部分を色つきで表示。人が該当部を探し出す手間を省く。

整備工場は専用の請求システムに誤った金額を入力した際、直ちに誤りが分かるようになった。これまでは送信後にNCSの従業員が確認していたため、指摘を受けるまで数日かかることがあった。今はAIの自動判定で「送信直後に正しい金額が表示される」(大沢孝太郎次長)仕組みだ。

また、蓄積データを基に整備工場への「整備実施状況レポート」の発行を始めた。決められた作業の実行度合いなどを両者で共有し、改善につなげる。

要素が多く複雑

NCSの管理車両は国内3位級の67万台。点検、整備、修理は全国の提携整備工場が請け負う。整備工場は作業内容をシステム上にコード入力し、料金請求する。単純作業のようだが、顧客ごとにリース契約内容が異なるなど、ひとくくりにできない要素が多くあって複雑だ。

両者両得

例えば、契約内容によって、ある故障の修理はNCSではなく直接顧客に料金請求することがある。また、システム入力時に使うコードは部品コードと作業コードでそれぞれ数千種。それが車種ごとに存在するという。誤入力が生じる可能性が相応にあるため、これまでは同社の熟練者が伝票を一件ずつ確認してきた。

「もし整備工場との関係を維持できなければ当社のサービス品質が落ちる」(権田執行役員)と共存関係にある。双方の作業負担が減る「両者両得」のAIとなった。(編集委員・六笠友和)

日刊工業新聞2021年6月8日

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