イーセップが再エネを活用した合成液体燃料事業に参入!代替燃料を高効率に精製
イーセップ(京都府精華町、沢村健一社長)は、再生可能エネルギーを活用して水素(H2)と二酸化炭素(CO2)の化学反応で精製する合成液体燃料「e―fuel」事業に参入する。本社隣接地に約1億円を投じ、独自の小型ユニットなどを設置、少量のガソリン代替燃料精製を実証する。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に貢献する技術として、まずe―fuelで先行する欧州などに提案。同事業で2024年9月期に1億円、25年9月期に8億円の売上高を目指す。
イーセップが実証するのは、フィルター技術により化学反応で連続的に生成される水を除去し、一度の処理でガソリンやディーゼル燃料の代替となるe―fuelを高効率に精製する技術。将来的には投入した原料の9割以上の精製効率を目指す。25年の大阪・関西万博での技術提案を想定している。
同社が持つ膜孔径をナノメートルレベル(ナノは10億分の1)で精密制御したナノセラミック分離膜を用いる。大きな分子(水)を選択的に膜透過して分離する、同社のゼオライト系多結晶膜を活用した「メンブレンリアクターシステム」を開発する。従来法に比べ、コンパクトな設備で高効率に精製できるのが特徴だ。
太陽光・風力発電など再生エネを用いたe―fuelの精製のほか、水素キャリアからの水素抽出・発電、精製したe―fuelでの車両試運転を予定する。再生エネ発電と余剰電力でe―fuelを精製、販売する事業モデルを構築する。
同社は13年設立。無機膜、分離膜技術の開発や関連機器・システムの提供などを担う。
日刊工業新聞2021年6月7日