三菱地所・東急不動産が推進、「外国人技能実習生」人権配慮強化の動きは業界に広がるか

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三菱地所は型枠コンクリートパネルの木材に国際認証を取得する(イメージ)

大手不動産会社でサプライチェーンにおける人権配慮の動きが広がっている。三菱地所は7月に発売する新築分譲マンションで、建設時に使う「型枠コンクリートパネル」(コンパネ)の木材に関し環境と人権配慮のお墨付きとなる国際認証の取得を決定。東急不動産ホールディングス(HD)は2030年度までのコンパネ100%認証材・国産材化と取引先である建設会社の外国人技能実習生への人権配慮強化を打ち出した。今後は建設会社とどこまで連携できるかが課題になりそうだ。(大城麻木乃)

コンパネ木材 100%認証・国産材

【「FSC」に対応】

三菱地所は7月に発売する分譲マンション「ザ・パークハウス高輪松ケ丘」(東京都港区)で、コンパネに使う木材を従来の国内第三者証明から国際認証の「FSC認証」へ切り替える。FSC認証は国内第三者証明よりも細かな履歴管理が求められており、環境と人権配慮をより徹底できる。

コンパネを巡っては、先住民の土地収奪などが懸念される南洋材を使っているとして国際的な非政府組織(NGO)から非難されるリスクがある。こうしたリスク回避のため、三菱地所はすでに30年までに100%認証材・国産材への切り替えを決めており、今回は具体的な建築物に落とし込んだ取り組みの第1弾となる。

外国人実習生 就労の環境整備

【協力会社に徹底】

東急不動産HDは、コンパネの30年度までの目標設定に加え、同年度までに自社グループだけでなく建設会社を含むサプライチェーン上の労働者や子どもの強制労働未然防止を打ち出した。すでに住宅事業と都市事業の発注先である建設会社24社に対して人権に関するアンケートを実施し、リスクの洗い出しに着手済み。

特に強化すべき人権リスクの対応として、外国人技能実習生への人権配慮があると捉え、今後は労働・生活環境の課題を整理したガイダンスを基に、発注先に対し協力会社への人権配慮の徹底を促していく。

【調達基準を公表】

東京建物は、5月に「東京建物グループ人権方針」と同時に、人権と環境に配慮する「サステナブル調達基準」を公表した。今後、自社だけでなく、取引先に対しても調達基準の順守と必要に応じた改善を働きかけるという。

政府は20年度、企業に人権を尊重した事業活動を促す「ビジネスと人権に関する行動計画」を策定した。サプライチェーンを含んだ事業活動における人権リスクの洗い出し「人権デューディリジェンス(DD)」を行うことを推奨している。不動産・建設業界でも具体的な行動に取り組む企業が増えそうだ。

日刊工業新聞2021年6月2日

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