ケーブルテレビ最大手がMaaS事業に挑む狙い

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乗車用アプリ「SWATBiz」画面のスマートフォン(手前)とライドシェアカー

MaaSで環境負荷軽減・地域活性化

ジュピターテレコム(JCOM)は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を意識した新事業創出を進めている。乗り合い送迎などMaaS(乗り物のサービス化)事業への参入を目指し、社内での実証実験を2020年に開始。営業社員を1台の車両に相乗りさせて顧客宅まで送迎し、社員の負担軽減と二酸化炭素(CO2)排出量削減につなげる。

運転免許を返納した高齢者の移動手段の確保や、過疎地を中心とする交通空白地域の解消が社会課題になっている。JCOMは、地域密着型の営業網を生かし、食品や日用品の配送、自宅から近隣施設への送迎サービスなどを検討。「テクノロジーを用いて地域を活性化する新たな取り組みだ」と松浦正人ビジネス開発第一部部長は説明する。

ただ、有償での乗り合いサービスは法律で規制されている。そこで事業化に向けたノウハウ蓄積のため、社内で実証実験を始めた。

営業社員が乗車用アプリケーション(応用ソフト)で乗降場所や到着希望時間を入力すると、人工知能(AI)で複数人の乗降場所から最適な経路を算出する。運転はプロの運転手に委託するため、負担軽減による営業効率の向上が期待される。

ドライバーアプリ「SWATDriver」画面の車載タブレットと配車予約して待つ人

1人に1台割り当てられている営業車両を削減できることで、環境負荷低減にもつながる。23年末までに営業車4500台の半数を乗り合い車両に置き換え、CO2を年間910トン削減できる見通しだ。

同社は20年に「SDGメディア・コンパクト」に加盟したことを契機に、放送チャンネルを通じて自社の取り組みの情報発信を強化している。「視聴者にSDGsを意識してもらうきっかけを作りたい」と村田宏渉外室副室長は話す。

20年度は地域防災を重点項目としたが、激甚災害の原因には環境変動があるとし、21年度以降は環境問題に注力することを決めた。放送、通信事業者としてできることを検討し、全社で取り組む方針だ。

日刊工業新聞2021年4月20日

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