電子部品48社中45社が今期の営業増益を予想。「ITバブル超え」の声も

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村田製作所の積層セラミックコンデンサー(MLCC)

主要企業、20%超す営業増益

電子部品メーカーは今期もコロナ禍からの回復が持続しそうだ。電子部品分野の上場企業50社の決算は、2022年3月期の連結業績予想を発表している48社中、45社が営業利益で前期を上回る見通し。増益幅は平均で20%以上になる。下期を中心に足元の需要急増の反動減を見込むが一時的にとどまり、複数社が最高益更新を目指す。来期以降も成長を維持できるかは、コロナ後に伸びる市場の見極めや生産・開発投資の規模、タイミングなど今期の経営判断がカギを握る。(山田邦和)

スマホ・車、コンデンサー需要

22年3月期は村田製作所と日本電産、TDK、ミネベアミツミ、太陽誘電、メイコー、山洋電気が営業利益で過去最高更新を予定する。村田製作所とTDK、太陽誘電は2期連続の更新となる。22年3月期についてTDKの石黒成直社長は「コロナ禍のリスクは残るが、自動車やスマートフォン(スマホ)は前期比でプラスを維持するとみている」と話した。

電子部品メーカーの多くで前期の下期から受注が急回復し、旺盛な状態が続く。主要な電子部品であるコンデンサーの1―3月のBBレシオ(3カ月平均の受注額を販売額で割った値)は、太陽誘電が約1・4、村田製作所で約1・3。「2000年代初頭のITバブル時を上回る水準だ」と大和証券の佐渡拓実チーフアナリストは指摘する。

民間調査機関によると、積層セラミックコンデンサー(MLCC)を1台当たり約1000個搭載するスマホの21年の世界生産は13億6000万台と、前年より約9%伸びる見通し。1台で3000―8000個のMLCCを使用する自動車も、8500万台(前年比11%増)となる見込み。村田製作所の中島規巨社長は「自動車が挽回生産のために在庫を積み増しているほか、携帯電話も中華圏のスマホメーカーがシェア拡大に向け増産している」と現状を説明する。

需要家の中には、半導体不足などで思うように生産できないメーカーもある。それでも電子部品の購入意欲が衰えない背景について、佐渡氏は「半導体の需給逼迫(ひっぱく)が続く中、需要家が『適正在庫』の水準を高めた可能性がある」と話す。業界関係者も「こうした状況は少なくとも上期中は続きそう」とみる。

半面、今後は需要の反動減を予測する向きもあり、村田製作所など5社が、今下期の営業利益が前年同期を下回ると予想する。ただ、村田製作所の幹部は「下期は調整が入るものの在庫の所在は見えている」として、市中在庫の規模が把握しづらかった17―18年との違いを強調する。佐渡氏も「影響は会社想定の範囲内で収まり、通期では多くの社が増益を確保できるだろう」と分析する。

蓄電池・先進運転狙い増産

多くの電子部品メーカーにとって本当の正念場は22年3月期以降になりそうだ。今期に営業増益を見込む45社のうち、コロナ禍直前(18年3月期または19年3月期)の営業利益を維持または上回るのは21社にとどまる。

リーマン・ショック前のピークから19年3月期までの電子部品各社の業績を見ると、年平均10%超の増益を続けるグループと、数%未満のグループに二分化している。「今期のような回復局面では、両グループとも多くの企業が増益を達成できる」(佐渡氏)が、来期以降は再び両者の違いが際立つ可能性がある。

来期以降の業績を左右するのは成長戦略だ。一部企業が今回新たに策定した中期経営計画からは、各社が目指す「来期以降の姿」がうかがえる。TDKは3年間で電池を含むエナジー応用製品事業に、投資額の6割に相当する4500億円を投じる。石黒社長は「モビリティーの電動化や再生エネルギーへの転換などでエネルギートランスフォーメーション(EX)がさらに進み、関連する受動部品や二次電池の需要を押し上げるだろう」と予想する。

TDKの家電用蓄電池システムや電動バイク向けリチウムイオン電池

蓄電システムや電動2輪車向けの市場が拡大する中型リチウムイオン二次電池に、「将来的には軸足を置いていきたい」(石黒社長)としている。

日本航空電子工業は中計最終年度の26年3月期に売上高3000億円、経常利益300億円の目標を掲げた。先進運転支援システム(ADAS)用のカメラコネクターや電気自動車(EV)用大電流・高電圧コネクターなど、自動車用コネクターで年平均10%以上の成長を目指す。

携帯機器分野でも中計期間中に、基板対基板用コネクターの生産能力を21年3月期比で60%増やす方針。小野原勉社長はコネクターについて「携帯電話市場でのポジションを維持しながら自動車や産業機械向けも拡大し、市場を上回る成長を目指す」と力を込める。

日刊工業新聞2021年5月31日

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