地震のとき、新幹線はどう対応している?いち早く検知する仕組みとは

おすすめ本の抜粋「トコトンやさしい新幹線技術の本」

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地震でいかに早く停めるか

鉄道車両は急に停まることはできず、特に高速列車は停止するまで数kmを走ってしまいます。大きな地震が発生すると、高架橋の崩落や脱線の可能性があるため、いち早く地震を検知して停止手配を取る必要があります。新幹線では当初から沿線の変電所に地震計を設置し、一定の加速度以上になると送電を止め、列車は停電を検知すると自動的に非常ブレーキをかける仕組みになっています。

東北新幹線開業時は、宮城県沖の海溝部に震源が多いことから、海岸線に地震計を設置して電気信号により地震波の到達より早く送電を止めるようにしました。また、鉄道技術研究所(現鉄道総合技術研究所)が開発した早期地震検知警報システム(ユレダス)は、P波(初期微動)を検知してその後のS波(主要動)が到達する前に送電を止めるシステムで、各新幹線に導入されました。現在では、さらに多くの情報を活用したシステムに進化しています。

停電を検知すると自動的に非常ブレーキがかかります。新幹線の非常ブレーキは、通常の電車と異なり電気ブレーキを併用しますが、停電を検知した場合は摩擦ブレーキのみを使用します。最近の新幹線は、強いブレーキをかけても車輪が滑走しないように、レール面上にセラミック粉末を噴射するセラジェットを台車に設置して非常ブレーキとともに噴射、停止距離が延びないようにしています。

停電により検知するシステムの場合、回生ブレーキを使うと検知できなくなります。そこで、回生電力の周波数を本来の周波数よりわずかに低くしておき、送電が止まったことを検知できるようにしています。地震で送電を止める方法は確実ですが、一時的にせよ全ての電源を断つ荒療治であり、今後は地震検知と信号システムを直接連動させて非常ブレーキをかける方法に移行するものと思われます。

(「今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい新幹線技術の本」p.98-99より一部抜粋)

書籍紹介

新幹線の高速化に伴い、安全を確保しつつ高速でも揺れない走り、高速からの減速・停止、長い坂を抑速しながら下る技術、徹底したトラブル再発防止など、新幹線はさまざまな面で技術進化を遂げています。本書では、こうした新幹線にまつわる技術についてトコトンやさしく解説します。


書名:今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい新幹線技術の本
編著者名:辻󠄀村 功
判型:A5判
総頁数:160頁
税込み価格:1,650円

執筆者


辻󠄀村 功(つじむら いさお) 
1956(昭和31)年神奈川県生まれ。
早稲田大学理工学部機械工学科卒業。
電機メーカーにて鉄道車両用電気機器の設計業務およびエンジニアリング業務に従事。
外資系の電機メーカーおよびブレーキメーカーを経て独立。
2015年より5年間、インド国内で鉄道コンサルタントとして活躍。
技術士(機械部門)。
主な著書 『鉄道メカニズム探究』JTBパブリッシング、2012年(2013年島秀雄記念優秀著作賞受賞)

販売サイト

Amazon
Rakutenブックス
日刊工業新聞ブックストア

目次(一部抜粋)

第1章 新幹線が誕生するまで

第2章 未知の時速200kmによる試練

第3章 快適な旅を支える技術

第4章 高速走行を安定させる技術

第5章 時速300km以上まで加速させる技術

第6章 高速からブレーキをかける技術

第7章 電気を送り込む技術

第8章 衝突を回避する技術

第9章 安全確保へのたゆまぬ努力

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