脱炭素「グリーン冷媒」推進へ、経産省と環境省が描く道筋

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地球のオゾン層を破壊した悪者として有名になったフロンガス。その代わりに採用された代替フロンはオゾン層を壊さないものの、温室効果が高いとされ、別の代替物質への転換が進められている。政府は2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の目標を掲げており、その実現に向け代替フロンの置き換えを目指している。(冨井哲雄)

オゾン層は宇宙からの有害な放射線などを遮断し人を含む生命を守っている。1928年に開発されたフロンは燃えにくく液化しやすいなどの性質を持ち、冷蔵庫などの冷媒や断熱材、半導体や精密部品の洗浄剤などの用途に使われるようになった。だが85年に南極でオゾンホールが発見されると大問題になり、世界はオゾン層保護の方向にかじを切った。

現在はオゾン層を破壊する「特定フロン」からオゾン層を破壊しない「代替フロン」に置き換わりつつある。だが一般に代替フロンと呼ばれる「ハイドロフルオロカーボン(HFC)」の温室効果は、二酸化炭素(CO2)の数百―数万倍とされ、温室効果が小さいCO2やアンモニアなどの「グリーン冷媒」への転換に迫られている。温室効果ガス全体に占めるHFCの寄与はCO2換算で4%程度だが、カーボンニュートラルの実現に向けHFCの製造や消費の削減が求められている。

経済産業省と環境省は4月、50年のカーボンニュートラルに向けた代替フロン分野での今後の取り組みの方向性をとりまとめた。フロンの製造や輸入などを手がけるメーカーを蛇口、エアコンや冷蔵庫などのメーカーを上流、スーパーやコンビニなどのユーザーを中流、廃棄処理事業者などを下流とし、取り組みの方向性を示した。

蛇口に関しては、国際的なフロン対策の取り決め「モントリオール議定書」のキガリ改正で、36年にHFCの消費量を11―13年の平均値から85%削減し、さらに50年に向け消費量を削減すると明記。上流では、温暖化の能力を示す「地球温暖化係数(GWP)」が低い冷媒を開発するなど機器の耐用年数を踏まえ供給側と需要側の両面で、グリーン冷媒機器の導入に向けた対応を推進する。

中流ではIoT(モノのインターネット)技術を活用し、代替フロンの漏えい検知の精度を向上するなど市販されている機器への漏えい対策を徹底。下流では対象となる全ての廃棄機器に冷媒回収を徹底させるための対策を推し進めるとした。

カーボンニュートラルの実現に向けた動きが世界で加速している。地球温暖化の抑制と経済発展を両立できる技術開発や取り組みが必要になるだろう。

日刊工業新聞2021年5月18日

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