難航する次世代冷媒開発、打破のカギは「AI」と「iPS細胞」

ダイキン工業が活用を始めた

 ダイキン工業は冷媒など化学品の開発で、人工知能(AI)とiPS細胞(人工多能性幹細胞)の活用を始めた。新規の化合物を探索する際、AIが世界中の科学文献を参考に有望な候補を提示する。さらにiPS細胞を使うことで、人体への安全性などを評価する際、事前に簡素な検証ができる。空調業界では、2030年ごろの環境規制に対応する次世代冷媒の開発が難航している。今回の先進技術により冷媒開発を加速させる。

 自社開発した化合物探索システムは、求める特性を入力すると、AIが科学論文の情報から候補となる分子構造などを探す。試験的に冷媒開発に取り入れたところ、研究者では発想しにくい新規性の高い候補が見つかった。この成果を受け、同システムの応用先を半導体製造装置や自動車部品などに使うフッ素化学品全体へと広げることにした。

 iPS細胞の活用では、東京大学大学院薬学系研究科の池谷裕二教授と沢田光平客員教授らと連携する。冷媒などは実用化前に、動物などを使って長期間にわたる安全性評価が必要になる。そこで人体の細胞再現が期待されるiPS細胞を使い、小規模かつ短期間で安全性を事前検証する。冷媒のような常温気体の化合物にiPS細胞を使うのは、世界的に例がないという。

 オゾン層破壊防止の国際ルール「モントリオール議定書」として、GWP(地球温暖化係数)の高い冷媒の利用を規制する「キガリ改正」が1月に発効した。GWPが低いと位置付けられる現行の冷媒「R32」より一層、係数の低い冷媒が求められている。ダイキンは、医薬品開発で使われつつある今回の先進技術を取り入れて対応する。

                 

日刊工業新聞2019年3月12日

  

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