1000km先から建機遠隔操作を実現。鹿島とJAXAが無人による月面拠点建設へ一歩
鹿島と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、1000キロメートル超離れた場所から建設機械の遠隔操作と自動運転による施工実験を実施し、高い精度の施工を実現した。両者は月面で無人による有人拠点建設を目指しており、今後さらに遠方の海外現場での実験を進めるなど、計画の実現に向け共同研究を継続する。
2021年3月の実証実験では、JAXA種子島宇宙センター衛星系エリア新設道路等整備工事(鹿児島県南種子町)現場から、1000キロメートル超離れたJAXA相模原キャンパス(相模原市中央区)を公衆電話回線で接続。限られた通信容量の実験では無人の建機・振動ローラーを遠隔操作で障害物を避けながら、月面に到着した無人の建機を建設現場に誘導した。
建設エリアでは鹿島の自動化施工システム「クワッドアクセル」で自動運転による作業を行った。この結果、従来の月面で想定した作業の通信遅延や複雑な地形での動作などに加え、自動運転を取り入れた遠隔施工システムにより、高い操作性や安定性の可能性を確認した。
両者は16年から月面での無人による有人拠点建設を目指し、「遠隔操作と自動制御の協調による遠隔施工システムの実現」の共同研究を進めている。
日刊工業新聞2021年5月19日