中小企業のM&A後押し、経産省が「表明保証保険」を補助

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経済産業省・中小企業庁は中小企業のM&A(合併・買収)を促すため、売り手の表明保証違反で買い手が被る損害を補償する表明保証保険(※)の保険料を補助する事業を夏にも始める。保険料の2分の1を補助する。経営者の高齢化や新型コロナウイルス感染症による事業環境の変化でM&Aを選択する中小が増える見通し。M&Aに伴うリスクを低減する表明保証保険の利用拡大につなげ、事業承継や再成長を目指す中小を後押しする。

※表明保証保険=M&Aのリスクを補償する損害保険分野の商品。一般に買収契約書では、売り手が買い手に財務や労務に関する開示事項に虚偽がないことを保証する「表明保証事項」を設ける。この表明保証事項に違反があった際、買い主が被る金銭被害を保険に転嫁できる。近年、中小企業の円滑な事業承継を支援する目的で、小規模M&Aを対象とした新商品が大手損保から相次ぎ販売されている。

企業庁が中小を対象にした表明保証保険の保険料を補助するのは今回が初めて。補助上限額は今後詰める。

表明保証保険は売り手の保証違反で買い手が損害を被った場合に補償する保険商品。保証範囲をめぐって売り手と買い手で利害が一致しにくい交渉を円滑に進められる利点もある。2020年に損害保険会社が相次いで取り扱いを始めた。

後継者がいない経営者の高齢化や新型コロナの影響などを背景に事業承継や再成長、創業の手段としてM&Aを志向する中小が増えている。企業庁によると中小のM&A実施件数は13年以降拡大し、足元では推計で年間3000―4000件程度実施されているとされ、譲渡を希望する潜在的な企業は60万者に上る試算もあるという。

ただ、M&Aに関する知識・ノウハウ不足やM&Aに伴う多様なリスクを考慮し、ためらう企業も少なくない。M&Aを安心かつ速やかに実行できる環境整備が急務になっている。企業庁は中小のM&A支援を強化している。

日刊工業新聞2021年5月14日

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