AIで牛の個体を識別! センサー使わず多頭管理が可能に
土谷製作所(札幌市東区、土谷敏行社長、011・781・5883)と東京理科大学の谷口行信教授らは、乳牛の背中の斑紋から個体識別する人工知能(AI)技術を開発した。牛舎にカメラを設置すれば牛にセンサーを付けなくても、1頭1頭を識別し行動を追跡できるようになる。体調が悪い牛がいれば、その牛の行動をさかのぼって調べて原因を探せるようになる。2022年秋のサービス開始を目指す。
乳牛の白黒の斑紋をAI技術で分類して1頭1頭を識別する。搾乳機に向かう際に、牛1頭の体表を撮影して立体的なマスターデータを作成する。牛舎の天井カメラの画像から牛を検出して、背中の斑紋をAI技術で照合して個体を特定する。
実際に牛舎内で牛が餌場や水場、寝床を移動する軌跡を求めることができた。画像1枚から牛を識別する精度は現在は7―8割程度。連続的に追跡して識別を繰り返せば連続映像としての識別率は向上する。9割以上の識別精度を目指す。
牛の行動を追跡する場合は首にセンサーを巻き付けたり、センサーを飲み込ませたりしている。カメラ式は個々の牛にセンサーを付ける作業が要らず多数の管理に向く。
映像が残ると異常があった際にさかのぼって原因を調べやすい。牛舎や飼育の改善につながる。
経済産業省・中小企業庁の「戦略的基盤技術高度化支援事業」(サポイン事業)に採択され、帯広畜産大学などと開発を進めている。22年秋のサービス開始を目指す。
日刊工業新聞2020年11月17日