政府がバーチャル総会を整備も、根本的な解決は道半ば?
5月の大型連休後に本格化する“総会シーズン”の姿が変化する様相を見せている。対面開催が求められたこれまでの方法に対し、政府は事業協同組合などでも全員がオンラインで出席するバーチャルオンリー型で実施できるように整備を進める。コロナ禍で露呈した在り方にメスが入る一方、対象となる組織は限られるため根本的な解決へ道半ばの状況が続く。(取材=高田圭介)
省令改正急ぐ 事業協同組合などに適用
中小企業庁は、中小企業などの事業協同組合や商店街振興組合を対象にオンラインだけで総会を開催できるようにガイドライン策定や省令改正などの整備を進めている。5月上旬までに準備を整え、今年の総会シーズンに間に合わせる。
バーチャルオンリー総会の実施が求められる背景には、コロナ禍で非対面型によるニーズに現行法や規則などでは対処できない課題がある。例えば会社法では株主招集通知の記載事項として場所を規定している。政府は2月に閣議決定した産業競争力強化法などの改正案で、上場企業が株主総会を開く際、経済産業大臣や法務大臣の確認を受けた場合に実施できる特例を設けた。
上場企業の株主総会と同様に多くの参加者が集まる中小企業などの事業協同組合に関しては、既に法律上での場所に関する規定はない。一方で施行規則では議事録に総会を開いた場所を記載する規定が存在していた。
企業庁はダブルスタンダードを解消するため、オンライン出席者の議決権行使方法や無記名投票での担保方法などの留意点に関する整理を急ぐ。開催方法の選択肢拡大や組織活性化にもつなげる。
一方で非上場企業を対象にしたバーチャルオンリー総会については、「検討している」(企業庁担当者)状況にとどまる。上場企業や事業協同組合と比べて相対的に参加者が少ないことも要因にある。ただ非上場企業でも株主が各地に散らばり、物理的な効率性を求める上で今後の体制づくりが急がれる。