独レーザー加工ベンチャー、微細加工で狙う日本市場とは?

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金属板の表面に直径10マイクロメートル以下の穴を3500万開け、医薬品生産用のフィルターを製造した

独パルサーフォトニクス(ノルトライン・ヴェストファーレン州)は超短パルスレーザーを用いたレーザー加工を手がける。高出力のレーザーを瞬間的に照射し、金属や樹脂などの素材に穴開けや彫刻ができる。加工部の周囲に熱が発生しにくく、高精度の微細加工ができる強みを生かし、自動車や電機、医療など多分野での展開を目指す。

パルサーフォトニクスは従業員40人のレーザー加工ベンチャーだ。部品の受託加工のほか、レーザー加工機の販売も手がける。1秒よりはるかに短い時間であるフェムト・ピコ単位のパルス幅の超短パルスレーザー制御技術に強みを持つ。

超短パルスレーザーは通常のレーザーよりエネルギー密度が大きく、削りかすが堆積しにくいといった利点がある。「従来のレーザーが苦手としていたセラミックスなど、もろい材料の加工も可能だ」とシュテファン・アイフェル社長は説明する。

活用できる産業分野はさまざま。例えば自動車部品のベアリングの表面に5マイクロ―10マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の微細な溝を無数に掘り「部品同士が接する時の摩擦を減らせる」(アイフェル社長)。最大25%の摩擦を低減し、自動車の運動性能を改善した。医薬品の生産で使用する金属製フィルターを加工した際には、高さ50ミリ×幅400ミリメートルの金属板に直径10マイクロメートル以下の穴を3500万開けた。

同社は1本のレーザーを複数のビームに分割する技術を独自開発した。ビームの数を増やすことで加工時間を短縮。対象や加工の種類によって異なるが、通常の方法より最大10―100倍の速さで加工できるという。

2013年に設立した同社は、欧州最大級のレーザー研究機関であるフラウンホーファー・レーザー研究所発のベンチャーだ。アジアでは台湾や中国、韓国を中心に展開し、将来的に日本市場への参入も想定する。「特に電機分野にビジネスチャンスがある」(同)とし、現在は日本での販売代理店を探している。(森下晃行)

日刊工業新聞2021年4月30日

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