半導体「スーパーサイクル」で中小企業も活況!メッキやバルブ、検査装置、金属加工などに恩恵の波

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半導体市場の活況が止まらない。自動車の電動化やデジタル変革(DX)などが需要をけん引。コロナ禍でも“巣ごもり需要”などが加わりむしろ勢いを増している。好不況を繰り返す「シリコンサイクル」から、拡大を続ける「スーパーサイクル」に転じたともされる半導体産業が、中小企業にもチャンスをもたらしている。

清川メッキ工業(福井市)はハイブリッド車などに使うパワー半導体デバイスのメッキ需要が伸び、2022年2月完成をめどに本社近隣への新工場建設を決めた。半導体関連を専門とする3棟目の工場で、同社最大の延べ床面積2700平方メートル。投資額は数億円で段階的に設備を入れる。車載センサーの受注の立ち上がりにも備える。コロナ禍でいったん落ちた需要も20年10月から再び伸長。「1年ずれて需要の山が来た」(清川肇社長)。

半導体製造装置用精密バルブで最大手のフジキン(大阪市北区)は、日本とベトナムなどで生産拠点を分散・増強し、部品の内製化を進めている。22年にはベトナムに研究開発拠点も開設する。野島新也社長は「米中対立が続くと半導体業界はリスク回避のため、サプライチェーン(供給網)を米中のそれぞれに築こうとする可能性が高い」とも予測。こうした供給網の多様化による精密バルブの需要増も視野に入れる。

応用電機(京都市左京区)は約24億円を投じ、半導体や電子部品の検査装置などの新工場を神奈川県大和市で22年4月に稼働。既存の相模原工場(相模原市南区)の設計・生産を移管、増強し、人材も倍増の100人規模まで拡大する。フクダ(東京都練馬区)は、ウエハー上の電気的特性試験装置の付属製品や、水晶振動子の試験装置の好調な販売が続く。設備導入を2023年度中に終えられるよう製造部門は忙しい。坪田測器(神戸市西区)は半導体製造装置向けの基板実装が増加。基盤実装・組み立てなどの生産ラインを1ライン増設する計画だ。

受託レーザー加工のレーザージョブ(埼玉県戸田市)は「半導体関連事業は好調。昨年半ばから継続して注文が多い」(山口佳孝社長)。半導体製造装置の部品加工を手がける埼玉プレーナー工業所(埼玉県川口市)は20年9月から受注が増え始め、1月の受注量は前年同月比50%増。人材拡充や工作機械導入など生産体制の強化を検討中だ。「これまでになく忙しく、複数社から従来の数倍の生産依頼がきている」(鈴木憲一郎社長)。

ニッセー(山梨県大月市)はボールネジ転造に使う転造機を手がける。新仏利仲社長は「半導体製造装置への参入も増えている。同装置に多数使用するボールネジを内製化する動きがあり、転造機を新規導入する顧客が出てきた」と話す。村上精機(堺市堺区)の村上周三社長は半導体製造装置向けの高精度組み立てや部品製造について、「3月から22年いっぱいにかけて忙しくなりそう」という。

サンコー技研(大阪府東大阪市)は家庭用空調機向けパワー半導体用放熱基板の精密加工を手がけ、国内は巣ごもり需要、外需は中国向けが好調。ヒメジ理化(兵庫県姫路市)は半導体製造装置向け石英ガラス部品を製造。赤錆充社長は「半導体はあらゆる分野で使われる。長い目でみたら、好不況の波は少しずつ無くなってきつつある」とみる。

金属切削加工のトク・テック(東京都大田区)も受注が好調で、このまま増勢が続くなら増設や中期的には新工場も検討するが「米中貿易摩擦で落ち込んだ分が元に戻ってきているという印象」(押康一専務)という。NBファスナー工業(大阪府八尾市)も「そこまで活況の影響は出ていないが、遅れて波はやってきそう」(西出倫明社長)とみる。金属加工の北口精機(大阪府大東市)では前年比で増えた品目はあるが、トータルでの変化は大きくないとし、増産や設備投資の計画は現時点でない。

半導体製造装置用精密バルブ最大手のフジキンは、ベトナムに研究開発拠点を開設する(完成予想図)

日刊工業新聞2021年2月11日

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