環境意識を変容する、「気候変動×新型コロナ」教育の中身
学校にCO2センサー提供
名古屋産業大学環境経営研究所(愛知県尾張旭市)は「気候変動×新型コロナ」対策に対応した環境教育の普及を目指す「学校応援プロジェクト」を立ち上げた。環境CSR(企業の社会的責任)を推進する企業と連携して、小中学校や高校に二酸化炭素(CO2)濃度測定器を無償提供し、小中学校には植物の光合成実験と教室の換気実験を支援する。高校に対しては、植物の光合成実験の発展学習として、CO2吸収力の高い緑化木の調査を支援する。
同研究所では「気候変動×新型コロナ」対策をテーマに学習を推進することで、脱炭素社会の実現に向けた意識変容や行動変容を促すことを目指している。
学校応援プロジェクトでは、愛知県内の経済団体などを通して、環境CSRを推進する企業に協賛を呼びかける一方、「ゼロカーボンシティ」を表明した自治体の小中学校を中心に、CO2センサーを活用した環境教育の支援に取り組む。
名古屋産業大の伊藤雅一教授の研究グループは、2003年度から、CO2センサーを活用した環境教育の研究と実践を推進。同大が提唱する環境教育は日本と台湾の小中学校や高校で実施され、これまでに6000人を超える児童・生徒が受講している。また、CO2のセンシングデータを検証するための学習支援システムを開発し、ウェブサイトで公開している。
高田高校(津市)、赤塚植物園(同)と連携し、CO2吸収力の高い緑化木の普及に向けて、植物の光合成実験を収録した環境学習ビデオを作成、三重県の小・中学校や名古屋市の高校で活用が始まっている。学校応援プロジェクトはこうした取り組みを全国に広げる狙いもある。
コロナ禍において、飲食店や病院、オフィスなどで、換気の基準としてCO2センサーの活用が広がっている。また、文部科学省が定める学校環境衛生基準でも、換気の基準としてCO2濃度が位置付けられており、CO2の扱いに対する意識付けが社会的ニーズとして高まっている。
伊藤教授は6月下旬に「第9回太平洋・島サミット」の開催を踏まえ「太平洋の島しょ国は気候変動に強い危機感を持ち、気候変動対策として、CO2吸収量の増加を図るために大規模な植樹を表明している国もある」と指摘。同大では、環境学習ビデオを日本語のほか、英語、中国語、ベトナム語と多言語で配信するなど、海外での環境教育の普及も目指している。