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トヨタとも取引、燃料タンク主力の中小企業が挑むDX戦略

FTS(愛知県豊田市、落合宏行社長)は、デジタル変革(DX)を活用した生産性向上に乗り出す。2021―23年度をめどに開発設計から生産準備までのリードタイムと工数を現状と比べて半減させる。DXに関する人材育成も積極化する。自動車業界が変革期にある中、同社は既存製品強化と共に新分野開拓に取り組んでいる。DXによる効率化で経営資源の創出につなげる。

FTSは、DXで開発設計から生産準備までに関する改革に取り組む。デジタルデータを活用して最小限の現物確認で済むように改善するなどしてリードタイムや工数を大幅に削減する。

人材関連では、統計的品質管理(SQC)やDXに関する教育を強化する。生産現場で記録していた設備や製品などのデータを分析し、不良率低減や業務効率化などに結び付けられる人材の育成を目指す。またデジタル技術を生かし全社的な働き方改革を企画・実行する。

一連のDXに関する取り組みは、FTSが1月に設けた「BRモノづくり品質改革室」「BR人財開発改革室」「BR業務改革推進室」の3部署が担う。3部署とも時限的な組織で1―3年をめどに成果を出したい考えだ。

FTSは燃料タンクを主力とし、トヨタ自動車などと取引する。電動化など自動車業界の変革に対応し、樹脂タンクの軽量化など既存事業の強化に加え、バッテリーケースなど新分野に技術を応用する取り組みに力を入れる。

DXによる業務改革を通じコストを浮かせ、研究開発費などを十分に確保できるようにする。

日刊工業新聞2021年4月19日

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