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三菱電機がAI人材を2000人に拡大!DX推進の先導役に育成

三菱電機は2021年度に人工知能(AI)人材を前年度比3割強増の2000人に拡大する。産業界では日立製作所や日本製鉄、住友化学などもデジタル変革(DX)関連人材の育成を急ぐ。日本の労働力不足やIT化の遅れに加えて、近年のインターネットを介した新しい消費生活スタイルの浸透などDXの大波が業種を問わず押し寄せている。

三菱電機はAI技術の高度化やソリューション開発などを担うAI人材を20年度の約1500人から21年度に2000人に増員する。社内の育成プログラムを順次強化・拡充するとともに、社員の意識改革も進める。

同社のAI実用化実績は17年度に数件だったが、20年度には累計で約70件まで伸びた。AIを使った機器の故障予兆検知システムなど事例が着実に増えているという。

日立製作所は21年度末までにグループ全体でデータサイエンティストの数を20年4月末比5割増の3000人に拡大する。データサイエンティストの仕事はAI研究や、独自のIoT(モノのインターネット)共通基盤「ルマーダ」を活用したサービス・ソリューション開発、業務効率化など多岐にわたる。

DX人材育成・獲得に取り組むのは電機業界だけではない。素材系では日本製鉄が30年度までにDX人材を2400人育成する。住友化学もアクセンチュア(東京都港区)と社内DX推進の共同出資会社を4月に設立した。

内閣府の20年度経済財政白書によると、日本は欧米に比べてIT人材がIT産業に集中している。日本はIT産業に所属するIT人材が全体の72・3%と高い一方で、米国はそれが35・5%と低いため業種を問わずIT化が進展しているとみられる。

産業界もDXを主導する社内人材の育成を急ぎ、100年に1度の大変革を生かしてビジネスモデル転換や業務効率化を図る。

日刊工業新聞2021年4月16日

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