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政府が描くデジタルインフラ整備構想とは?データセンターの地方分散化がカギ

政府がデジタルインフラ整備の支援強化に乗り出すことが判明した。データセンター(DC)の地方都市への分散化やアジアでの集積拠点化に向けての施策を講じる。電力・通信インフラの効率的利用やレジリエンス(復元力)強化を促しつつ、サーバーなどの需要拡大に伴う半導体産業の基盤強化や経済安全保障への対応を一体的に展開する狙いだ。

来週予定の成長戦略会議の中で議題に盛り込む方向で検討する。今夏に策定する「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)や成長戦略に反映し、各省庁の施策を加速する。デジタルインフラの最適配置に向け、国内のDCの8割が集積する東京圏や大阪から福岡や仙台など地方都市に分散する。

政府は先端半導体製造技術強化のため、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を通じて計2000億円の研究開発基金で支援している。デジタル変革(DX)や自動運転、スマートシティーなど多方面で半導体需要の長期的な伸長が見込まれる中、さらなる需要喚起の観点からもデジタルインフラ整備を推進する。成長戦略会議で課題を提起し、3月に立ち上げた経済産業省の検討会議でも議論を深める。供給サイドの基盤強化だけでなく国内の需要創出、経済安全保障への対応などを網羅する。

デジタルインフラ整備を推進する背景には、延べ床面積比較で圧倒的な中国を除くと日本が近隣諸国より立地が進んでいる事情もある。地政学上でも競争力があるとみており、政府の具体的な後押しを通じ、優位性を高める狙いも見える。

半導体は昨今の需給逼迫(ひっぱく)で多方面に影響を及ぼしている。一方、デジタル化やグリーン化の推進に欠かせない。半導体受託製造(ファウンドリー)の存在感が高まる中、日本がキーパーツとなる素材、製造装置の分野で生き残る上でもデジタルインフラ需要を先駆けて創出する。

日刊工業新聞2021年4月9日

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