ルネサス火災被害「しれっと増えている」 疑心暗鬼の自動車各社は生産計画見直しへ

「減産になる。簡単な状況ではない」

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復旧作業が進むルネサスの那珂工場(30日=同社提供)

ルネサスエレクトロニクスの半導体工場で19日に発生した火災事故に自動車業界関係者がやきもきしている。被災したのは主に車載用の生産ライン。半導体不足が深刻化する中、事故前の出荷水準に戻るには3―4カ月かかる見込みで、自動車生産への影響が出るのは必至。被害を受けた製造装置の台数も事故直後から拡大した。自動車メーカーは業績への影響を抑えるため、生産計画の見直しを図る。

「しれっと増えている」―。自動車メーカー幹部は被害報告にあった数字の変化に気付いた。ルネサスは那珂工場(茨城県ひたちなか市)での火災発生から2日後の21日、使用不可の装置が11台だと発表した。しかし調査が進むにつれて、ススの影響などで他の装置にも被害が及んだことが徐々に判明した。

最終的に被害台数は倍以上の23台に膨らんだ。ルネサスの柴田英利社長は30日の会見で「(21日時点で)11台以外に使えない設備があるとは認識していなかった」と釈明。自動車業界では、初期の被害見積もりの甘さに不安を覚える声が聞かれる。

ある自動車部品メーカー幹部は那珂工場の火災事故の一報を聞いて「がっくりきた」という。同工場は2011年の東日本大震災の被害で約3カ月の操業停止を余儀なくされた。当時も半導体の供給不足に直面し、自動車は大幅な生産調整に見舞われた。10年後の今、自動車業界では既視感に襲われている。

自動車メーカーは減産対応を進める。ルネサスは1カ月後の生産再開を目指すが、事故前の出荷水準に戻るのは3―4カ月後を予定する。従前の世界的な半導体不足に拍車を掛ける事態で、ほかの自動車メーカー幹部は「減産になる。簡単な状況ではない」と厳しい表情だ。

各自動車メーカーは影響を受ける車種の確認を急ぐ。台数減による業績影響を極力抑えるため、限られた半導体の最適な割り振り計画を詰める。

(取材・日下宗大)

日刊工業新聞2021年4月1日

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