半導体不足でインフィニオンが少しだけ目立っていない理由

川崎社長「パワー半導体とセンサーは自社工場で製造している点だ」

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外部委託に出す時になかなか言葉で表しにくいノウハウがある(インフィニオン公式フェイスブックページより)

世界的な車載用半導体不足が深刻だ。自動車生産の急回復に加えて半導体業界特有の分業体制が一因であり、その解決は一朝一夕では難しい。約40年間の業界経験を持つインフィニオンテクノロジーズジャパンの川崎郁也社長に背景などを聞いた。

―2020年末からの車載用半導体不足は同業の蘭NXPセミコンダクターズやスイスのSTマイクロエレクトロニクスなどの供給難が主要因です。
「我々も短納期の注文が増えているので非常に苦労している。それは他社も同じだろう。当社が少しだけ目立っていない理由は、パワー半導体とセンサーは自社工場で製造している点だ。ただ、他の製品ではファウンドリー(半導体受託製造)やOSAT(半導体後工程請負業)も使っているので、外部委託の割合の差だろう。あとは、ファウンドリーなどに対するフォーキャスト(需要予測)の出し方・タイミングが違う可能性がある」

―もう少し具体的に言うと、どういう違いでしょうか。
「顧客からのオーダー通りに(ファウンドリーなどへ委託する)生産を絞るか、中長期の需要から判断して急にキャンセルしないで様子を見るオペレーションをとるかの選択だ。車載や民生など用途ごとに需要のサイクルは異なるので、なかなか言葉で表しにくいノウハウだ」

―社長就任から3年がたちました。今までの振り返りと今後の戦略は。
「20年に買収した米サイプレス・セミコンダクタとの統合が一番印象に残る。同社は日本国内にセールス・マーケティングだけでなく事業部があったので、日本での立ち位置が大きかった。文化を含めた組織の統合が重要な仕事だった。今後はシナジー発揮で売り上げを伸ばす。特に日本は同社も多くの顧客を抱えており、独インフィニオンと製品が重複しておらず、シナジーが起こりやすい環境だ」

【記者の目】
古巣のルネサスエレクトロニクスについて質問すると「言いたいことはたくさんあるけど…」と言葉をにごした。欧米勢に負けじと巨額買収でIoT(モノのインターネット)分野などを攻める姿はインフィニオンの戦略と似る。火災により那珂工場(茨城県ひたちなか市)の主力ラインが停止した今こそ、ルネサスについてもう一度聞いてみたいところだ。

ルネサスには「言いたいことはたくさんあるけど…」と川崎社長
(日刊工業新聞・鈴木岳志)

日刊工業新聞2021年3月26日

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