「CASE」時代に重要なタイヤ状態監視システム、産学連携で研究進む

付加価値サービス提供も

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住友ゴム工業が群馬大学と共同で行った実証実験。タイヤトラブル情報を確認し対応する

自動車のタイヤの状態を監視するタイヤ空気圧監視システム(TPMS)の重要性が高まっている。タイヤメーカーや大学などが本格的なCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)時代を見据え、自動運転バスの実証実験や共同研究を進める。メーカーでは安全強化に向けた付加価値サービスも展開する。タイヤは車で唯一地面と接し、事故防止でTPMSは重要なシステム。自動運転の実用化とともに需要が増すことが予想される。(鎌田正雄)

「人が運転する場合は(タイヤの異常を)感じ取ることができるが、自動運転の場合はセンサーを付けないと検知できないため非常に重要な技術」。群馬大学研究・産学連携推進機構次世代モビリティ社会実装研究センター(CRANTS)の小木津武樹准教授は自動運転におけるTPMSの重要性を説明する。CRANTSは自動運転バスを使い、限定地域での完全自動運転実用化などを目指して研究を進めている。

TPMSはタイヤの空気圧などを検知して基準外になっている場合に警報を発するシステム。タイヤのホイール内部にセンサー(送信機)が取り付けてある。空気圧不足はパンクの原因となるだけではなく、燃費や走行性能の低下にもつながる。さらに自動運転の普及によるドライバーレス社会では、今まで以上にTPMSなどを活用してタイヤの状態を遠隔監視することが求められる。

CRANTSと住友ゴム工業は2019年に共同研究を開始。20年11月に市街地で自動運転車のパンクを想定した実証実験を行った。模擬的にパンクを発生させ、タイヤに装着したTPMSにより空気圧の異常を管制所がリモート検知し、タイヤ整備店に自動通知。整備店が現場で補修し、自動運転が復帰するまでの一連の流れを確認した。小木津准教授はTPMSの自動運転車への適用、普及について「我々の立場からも対外的にTPMSの必要性を示して、触れていただく機会を増やしていきたい」と強調する。

タイヤメーカーでは事故防止に加え、付加価値サービス提供を目的にTPMSの活用に取り組んでいる。ブリヂストンは20年12月に国内のトラック・バス事業者向けに、タイヤの内圧を遠隔モニタリングするツール「タイヤマティクス」を活用したサービスを開始。タイヤ内の空気圧情報を定期的に計測し、異常があれば運行管理者などへアラートメールを届ける仕組みだ。

トーヨータイヤはTPMSなどから得られたデータや、人工知能(AI)を駆使し、タイヤの使用(摩耗)状態を推定するモデルを構築。現在は実証実験を行っている。

米国では、00年に起きたタイヤの空気圧低下による自動車事故などが起因となり、07年にTPMSの新車装着が義務付けられた。その後、欧州、韓国・中国でも義務化された。一方、国内では義務化されておらず、義務化への議論も盛り上がっていない。

日本自動車連盟(JAF)によると、19年度にロードサービス出動理由の2位がタイヤのパンクだった。1日当たり1129件がタイヤのパンクで出動していた計算だ。自動運転社会やモビリティーのコネクテッド化が進む中、車の不具合や事故を防ぐためにTPMSの重要度は増している。

日刊工業新聞2021年3月30日

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