ルネサス火災で自動車生産より深刻に、トヨタも今回は注視
半導体不足に寒波も影響
半導体不足に伴う自動車生産への懸念が再燃しそうだ。19日に発生したルネサスエレクトロニクスの那珂工場の火災を受け、取引のある自動車メーカーは状況把握に追われている。車載半導体主力工場の操業停止が長引けば、自動車生産に影響が広がりかねない。
トヨタ自動車や日産自動車、ホンダなどがルネサスの稼働停止に伴う影響の精査に乗り出した。日産は2月に世界的な半導体不足や新型コロナウイルスの影響などから2021年3月期の世界販売見通しを従来比15万台下方修正した。半導体不足の影響が比較的軽微だったトヨタも、今回は状況を注視する。
ある自動車部品メーカーの幹部は21日時点で「取引先の完成車メーカーから減産要請は来ていない」としつつ、「まだ読みきれないが間違いなく影響は出る」と身構える。
2月に米国を襲った寒波も半導体不足に拍車をかけた。トヨタは欧州・チェコ工場の操業を22日から14日間停止することを明らかにした。寒波で米テキサス州にある半導体メーカーの工場が止まり、調達が滞った。チェコ工場は小型車「アイゴ」などを生産している。減産規模は公表していないが「一時的な稼働停止で、生産台数への影響は軽微」(トヨタ)との見方を示す。
日産は19日に米国の寒波による樹脂部材の供給停滞の影響なども加わり、米国とメキシコの計3工場で数日間、一部車種の生産調整に踏み切ることを明らかにした。
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日刊工業新聞2021年3月22日の記事を一部抜粋