鉱山鉄道用の機関車も展示、住友グループの原点を模した記念館

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別子銅山記念館の外観。屋根部分に植樹されたサツキは5月に見頃を迎える(別子銅山記念館提供)

多角事業の礎を築く

別子銅山(愛媛県新居浜市)は、住友家が江戸幕府から請負稼行の認可を受けて1691年(元禄4)に開坑し、閉山する1973年(昭48)までの283年にわたり、総出鉱量約3000万トンの採鉱が行われた。住友グループにとっては機械や化学、林業、金融といった多角的に事業を展開する礎を銅山によって築いたことに加え、目先の利益を追わず信用を重んじる『確実を旨とし浮利に趨(はし)らず』という事業精神が培われていった原点でもある。

別子銅山記念館は別子銅山の歴史を後世に残すため、住友グループによって75年に銅山守護神が奉られている大山積神社境内に開館した。一般客に加え、住友グループの社員研修や地元の小中学生の課外授業などにも利用され、年間約1万5000人が来館する。

建屋は鉱山をイメージした半地下構造で、屋根部分には約1万本のサツキが植樹されている。背後の山と調和し、自然に溶け込むデザインが特徴だ。入館すると、ロビーの「大鉑(おおばく)」が来館者を出迎える。大鉑は毎年元旦に銅山の繁栄や安全などを祈願し、鉱石を大山積神社に奉献する際に用いた。みこしのような形で、73年に奉献した最後のものが展示されている。

坑道をイメージして照明が抑えられた展示コーナーでは住友グループが所蔵する貴重な史料を展示する。坑道の復元模型や写真、図表などを通じて別子銅山の歩みや住友グループ各社の発展を知ることができる。

明治期に購入した鉱山鉄道用の「別子1号蒸気機関車」

また、鉱石から金属を取り出す際に発生する亜硫酸ガスによる煙害問題を克服した四阪島(しさかじま)の資料からは、経済発展と表裏一体にある環境問題の解決に向けた先人たちの奮闘の歴史がうかがえる。他にも採鉱で使用したさく岩機や作業用品、当時の労働者の生活風景を切り取った写真などを展示。屋外には鉱山鉄道用に購入したドイツ・クラウス社製の蒸気機関車や、かご電車の実物が当時の姿そのままに展示されている。

※新型コロナウイルス対策として、同時に入館できる人数を最大50人に制限している。

【メモ】▽開館時間=9―16時半▽休館日=月曜日、祝日(祝日が日曜と重なる場合は開館)、年末年始(12月29日―1月3日)、地方祭(10月17日、18日)▽入館料=無料▽最寄り駅=JR予讃線「新居浜駅」▽住所=愛媛県新居浜市角野新田町3の13▽電話番号=0897・41・2200

日刊工業新聞2021年3月12日

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