旭化成・三菱ケミカル・宇部興産・住友化学...素材各社が急ぐ!EV時代見すえ電池用部材の供給体制

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旭化成が増産するセパレーター

素材各社は、電気自動車(EV)の本格普及期を見据えたリチウムイオン電池用部材の供給体制構築を急ぐ。セパレーター大手の旭化成は増産に加え、欧米への湿式セパレーター生産拠点設置を検討する。三菱ケミカルは電解液の生産性向上技術を開発し、米欧中に導入して増産する。国内外の自動車各社は2025―30年頃に向けて電動車増販計画を打ち出しており、素材各社は電池用部材の供給量拡大やコスト低減、環境負荷軽減、グローバル体制などに対応していく。

セパレーターは、2―3年前に決まった原膜の新設備が相次ぎ立ち上がる。宇部興産は1―3月に新設備での商業供給を開始し、旭化成は21年度上期に湿式セパレーターの新設備を立ち上げ、需要増加に対応する。

さらに旭化成は現在、25―26年の需要に見合う生産体制構築に向けた計画の詳細を練っており、その近い時期に欧米拠点設置を検討している。同社は湿式・乾式の両方を展開しているが、EVに搭載される湿式は欧米で現地生産のニーズが高い。

住友化学は韓国で、耐熱性に優れたアラミド樹脂を原膜に塗工する設備を増設し、21年度に同国で耐熱セパレーターの生産能力を従来比2倍にする。

EV普及に向けて、電池部材には増産に加え、コスト低減と生産・輸送時の環境負荷低減が必須となる。三菱ケミカルは電解液の生産性を2―3倍に高める技術開発を推進してきた。米国の既存設備から導入し、23年をめどに米欧中で合計3万トン増強する。

住友化学は21―22年に電動車向けの正極材に参入する。本命はEVを狙って開発中のハイニッケル系の正極材。「当社は後発のためコストが重要だ。電動車への採用を足がかりに次のEV向け開発を加速する」(同社)。

宇部興産は25年をめどに北米で電解液などの原料のジメチルカーボネート(DMC)を年産10万トン規模で稼働させたい考え。北米企業はDMCをアジアから輸入しており、現地生産によって競争力を高める。

世界的な脱炭素化の動きの中、30年頃に向けガソリン車の新車販売を禁止する動きが各国で相次ぎ、自動車各社の電動化も加速。日本の素材各社にとって大きな商機となるが、品質を上げている中国勢との競争も厳しくなる。今後1―2年が製品や製造技術を仕上げ、供給体制構築を決断する時期となる。


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日刊工業新聞2020年3月8日

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