CNT使用の「塗布型半導体」で5倍超の電子移動度

埼玉の中小企業などが達成

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半導体型CNTをペーパー状にしたもの(容器底の黒い部分)

樫の木製作所(埼玉県越谷市、大隈浩社長)とNextコロイド分散凝集技術研究所(茨城県つくば市)は、単層カーボンナノチューブ(CNT)を使った塗布型半導体で、1ボルト秒当たり983・5平方センチメートルの電子移動度を達成した。既存製品の約5・4倍で、今後は無線識別(RFID)タグなどでの実用化を目指す。樫の木製作所では「現在、(事業化のための)パートナーを探している」(大隈社長)。

塗布型半導体はインクの状態にしてフィルムなどに印刷し、一般的なシリコン基板の半導体と比べ、工程数を減らせるのが特徴。今回、単層CNTを、半導体型CNTと金属型CNTに分離する際に用いる物質の組み合わせや時間、量を最適化し、純度の高い半導体型CNTの取り出しに成功した。

同社では、時間をかければ100%近くまで半導体型CNTの純度を高めることができるとしている。さらに分散剤として導電性ポリマーを使い半導体型CNTの長さを保持したことなどが移動度の向上に寄与した。

RFIDタグを使う在庫管理などでの採用を視野に入れる。同社マーケティングディビジョンの大隈航大氏は「RFIDタグ一つ作るのに一般的に10円を切る位と言われているが、今回の塗布型半導体であれば0・5円程度でできるのではないか」と見込んでいる。

日刊工業新聞2020年3月8日

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