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実態経済のリアルの数字は機械・工具商社の業績を見よう!

4―9月期は減収・営業減益相次ぐも、良くなる時のための種まきをも、

機械・工具商社主要9社の2019年4―9月期連結決算が14日出そろい、米中貿易摩擦に伴う設備投資の先送りなどが響き6社で減収、営業減益となった。20年3月期連結業績も7社で減収、8社で営業減益の見通しで回復時期が読みにくい状況が続く。各社は今後の対応が不可欠な省人化などの需要取り込みでテコ入れを急ぐ。

山善は工作機械など機械事業の部門別売上高が前年同期比21・7%減。国内は同3・0%減だったが「中国向けの工作機械が停滞し影響が大きい」(長尾雄次社長)と海外が同43・8%減。10月に20年3月期の売上高、営業、経常、当期利益で下方修正を強いられた。日伝も設備投資の延期などを受けて20年3月期予想を下方修正。「2月頃からの悪い兆しが続く」(檜垣泰雄取締役)。

一方、工作機械以外の事業がけん引した企業もある。ユアサ商事は20年の東京五輪・パラリンピックを中心とする建材需要を取り込み増収増益。フルサト工業もハイテンションボルトの売り上げ増などで増収増益だった。椿本興業は食品向けの搬送装置や包装機など戦略製品が寄与した。

20年3月期見通しについて山善の長尾社長は「厳しいが国内の省人化ニーズは見込めるため、人材もシフトし積極的に動きたい」とする。事業承継を含む投資計画については「方針変更しない」。

 日伝も「良くなる時のための種まきを継続」(檜垣取締役)。営業利益微減見通しのフルサト工業は「諦める段階ではない」(古里龍平社長)とセキュリティー事業の拡大も見据える。機械・工具商社各社は需要回復の機会を探りながら、反攻に向けた体制を整える段階となる。

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日刊工業新聞2019年11月15日

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