みずほ銀行などが八丈島でIoT駆使して防災対策、背景に両者の深いつながり

  • 3
  • 2
設置した土砂災害検知センサー「クリノポール」

東京の羽田空港から旅客機で1時間弱、竹芝桟橋から船で約11時間の太平洋上に浮かぶ八丈島。火山島であり雨も多い土地だけに水害・土砂対策をはじめ、防災が人々と暮らしを守る重大な課題となっている。2020年12月、思わぬ企業が同島で次世代防災システムの実証実験に乗り出した。3メガバンクの一角を占めるみずほ銀行だ。みずほ銀、応用地質、日本工営など計5社と地元の東京都八丈町がタッグを組み、防災IoT(モノのインターネット)センサーを活用したスマート防災の実現を目指す。

利便性高める

みずほ銀と八丈島の関わりは金融面で深い。銀行として島内唯一の出張所を置いている。また、現金が主流の離島で現金自動預払機(ATM)が少なく、住民、とりわけ観光客の困りごとだった。みずほ銀はスーパーの店頭やタクシーでキャッシュカードから現金が引き出せる「キャッシュアウト」サービスを提供。住民らの生活を便利にした。

さらに20年8月に八丈町、地元商工会と結んだ連携協定に基づき、2次元コードによる現金レス決済サービスを進めている。こうした一連の金融サービスを通じて八丈島を知り、「防災・減災が島の重要課題」(佐藤泰弘みずほ銀行デジタルイノベーション部兼Blue Labシニアデジタルストラテジスト)との認識を深めた。そこから土砂の動きを検知するセンシング技術を持つ応用地質、建設コンサルティングの日本工営との実証実験へと発展した。

実証実験で構築するシステムは土砂の異常、増水を遠隔監視し、収集したデータをクラウドサーバーに送る。事前に設定した安全基準を超えるとクラウドサーバーから関係者へアラートを通知する仕組みだ。実証実験ではアラートが警戒パトロール、住民や観光客の避難誘導に有効に作用するかを探る。その上で「防災のための町づくり支援」(渡部康祐日本工営次長)へとつなげ、スマートな防災体制の整備に展開する考えだ。

コスト低減

スマート防災システムの画面イメージ

エリアを広範に監視するには異常検知用IoTセンサーを多く設置する必要があり、費用がかさむ。そのため、費用を理由に「要所にしかセンサーを置けないケースがある」(堀越満応用地質グループリーダー)ことが課題だ。応用地質の土砂災害検知センサー「クリノポール」は価格が従来同等品の10分の1程度と安価な普及型だ。今回は実験のため2カ所のみで使うが、実用となれば単価を抑えられる分、多くの場所への設置が可能になる。

一方で、今後はセンサーからサーバーを介して送った情報をいかに地域住民や観光客に伝えるかがポイントになる。伝える情報についても、気象データなど公のデータと個人の会員制交流サイト(SNS)など民間データを掛け合わせるなどで、居場所など各人の状況に即した内容とすれば、災害アラートとしての有効性が高まる。将来像としては、こうした高度な情報連携と通知を視野に入れている。(編集委員・六笠友和)

日刊工業新聞2020年2月22日

キーワード
みずほ銀行

関連する記事はこちら

特集