NTTとKDDIが氷河期世代300人の就業支援、ライバルがタッグを組む背景は?
NTTとKDDIは就職氷河期世代など向けに情報通信技術(ICT)を用いた就業支援を実施し、両社グループなどで300人超の雇用を生み出す。2020年9月に結んだ社会貢献連携協定に基づくプロジェクトの第2弾。今後も気候変動への対応、スマートフォンの健全利用などで協力する。情報通信業界でライバルの両社だが、互いのICTを生かせる分野で、協力して社会課題の解決に取り組む。
「不安定な就労を繰り返しているため、能力開発の機会が少なく、企業に評価される職務経歴が少ない」―。16日に開いたオンライン会見で、島田明NTT副社長は就職氷河期世代が抱える課題をこう説明した。
3月から応募者全員にICT業界での働き方やリモートワークに必要なオンラインツールの使い方を学べる基礎研修を実施。そのうち500人超に約2カ月間で「マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト」などの資格取得に向けた研修を行う。研修は全てオンラインで実施し、自宅に通信環境のない受講者には条件に合った環境を提供する。
研修を修了した希望者300人超には就業支援を実施。両社グループでシステムエンジニアやソリューション営業などの職種で正社員として採用するほか、本人に適した企業への就業を支援する。村本伸一KDDI副社長は「社内でもアナログからデジタルへのスキルチェンジ教育を行ってきた。今回の研修でもそのノウハウを生かす」と述べる。
社会貢献連携協定の第1弾では、災害発生時に両社が所有するケーブル敷設船を相互活用し、被災地へ災害対応物資を搬送する協力を始めた。直下型大地震などにより陸路での物資運搬が困難となった際など、両社いずれかのケーブル敷設船が運航可能な場合に、被災地復旧の支援を早めることができる。
20年11月には東京都・北区合同総合防災訓練にNTT東日本、NTTドコモ、KDDIが初めて共同出展して啓発活動を行った。今後もさまざまな社会課題解決に向け、競争の枠を超えて協力できる分野を継続検討し、持続的な社会の実現に貢献する。