モノづくり系スタートアップのエコシステム確立へ!経産省主導で利害関係者巻き込む
経済産業省はモノづくり系スタートアップのエコシステム(生態系)確立への取り組みを強化する。量産化に向けた設計や試作など製品開発を中心とした支援から、販路拡大や保守体制構築など実用化につながる後押しへと移行する。ビジネス面での課題を洗い出した上で成功事例を創出し、幅広い利害関係者を巻き込んだ市場環境の形成を目指す。
2019年度から展開する実証事業について、スタートアップが進める研究開発を実用化させるプロセスに注力した展開を進める。市場に送り出す上での仕様変更やブランディングの構築、流通した製品のアフターサービス体制確立などの検証を進め、販路構築の体制を整える。コロナ禍での社会ニーズの変化に対応するため遠隔化や物流省力化に関する開発も支援する。
確立した製品・サービスや技術を基に、新たな資金調達や新規株式公開(IPO)、M&A(合併・買収)などを進めるための戦略についても検証する。ベンチャーキャピタル(VC)や協業先の大企業、行政などのステークホルダーを巻き込んでスタートアップが自律的に成長する事例を創出する。開発段階から市場への流通に至るまでの流れをケーススタディーとして波及させ、エコシステム形成につなげる。
経産省によると国内で資金調達に成功したスタートアップのうち、モノづくりに関連した企業の割合は1割未満にとどまる。研究開発段階での投資に対する不確実性やマッチングの機会の少なさなども要因に挙げられる。不確実性の中でも多くのステークホルダーが参画するエコシステムの構築に向け、新たな可能性を持つ企業が成長する土壌を形成する。
日刊工業新聞2021年2月19日