オイル塗布いらず!潤滑油少しずつが染み出る樹脂部品
福井精機工業(大阪市大正区、清水一蔵社長、06・6552・0115)は、超高分子ポリエチレン内に保持した潤滑油が少量ずつ染み出す樹脂部品「CiBs(キッブス)」を開発し、受注を始めた。あらかじめ部品に練り込むことでオイル塗布の必要がなくなる。機械のメンテナンス頻度を低減でき、自動化に寄与する。初年度に数十件の受注を目指し、「5年後に年1億円の事業に育てる」(清水社長)考えだ。
超高分子ポリエチレンは耐摩耗性が高い利点を持つが、溶融しにくく成形が難しい。福井精機は独自の加工技術で、潤滑油を長期間保持できる部品の成形に成功した。使用する油の種類や樹脂の形状は顧客の要望に応じる。食用油を練り込むことも可能で、食品加工工場の機械用部品などへの応用にも向く。
同部品の生産はこれまで顧客の求めに応じて個別に対応してきたが、保持できる油の種類などのノウハウを蓄積できたため自社製品として広く販売する。
受注後1カ月程度で納品可能。清水社長は「コストを極力下げ、スピーディーに試作開発して自動化需要に対応したい」と話す。
日刊工業新聞2021年2月12日