昨年の休廃業・解散企業は約5万件。ニッポン、有事の「復元力」

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コロナ禍で経済活動がストップし、多くの企業が危機に直面した(昨年4月の緊急事態宣言で閑散とするオフィス街)

産業界で、レジリエンス(復元力)を重視する動きが強まっている。新型コロナウイルスの感染拡大や米中対立の激化など不測の事態が相次ぎ、予期せぬ経営リスクが顕在化しているためだ。アフターコロナ時代や経済安全保障の問題を見据え、有事の際でも柔軟に変革できる経営力が求められている。持続的な成長に向け、日本企業はどのように体制を再構築すれば良いのか―。

【中小の危機】

コロナ禍は、体力に乏しい中小企業に市場からの退場を迫った。東京商工リサーチによると2020年に休廃業・解散した企業は約5万件(前年比14%増)と最多を記録。その多くが従業員10人未満で、需要が底堅い製造業ですら約5500件(同10%増)に上った。経済産業省は存続を促すため、新規事業や再編を支援する予算として1兆円超を計上し対策に乗り出した。政府は変化に強い企業への脱皮を後押しし、復元力の底上げに努めたい。

【供給網に課題】

国際的なサプライチェーン(供給網)にも課題が浮上した。中国に部品生産を依存していた自動車や電機などの業種では昨春、供給がストップする事態が起きた。ある政府高官は「経済安全保障の観点から、非常時や政治問題が起きても調達できるようにすべきだ」と指摘する。すでに生産の国内回帰や海外生産の分散化に対して大型補助金を講じており、日本企業はこうした措置を活用し強靱(きょうじん)化に着手する必要がある。

米中対立の長期化も経営者にとって想定外の問題だ。経済のデカップリング(分離)が現実味を帯び始めており、今後は中国産のレアメタルなど資源の調達が困難になる事態も考えられる。タイやインド、台湾など周辺の友好国・地域への分散投資に加え「自由で公正な経済圏でのビジネスに大胆にシフトできるよう、今から備えるべきだ」(金融系エコノミスト)。

【日々のリスク】

一方、日々の活動では自然災害やサイバー空間上の脅威も大きい。1月には全国的な寒波が長期化して電力需給が逼迫(ひっぱく)し、停電の懸念が取り沙汰された。また、サイバー攻撃もサプライチェーンから情報を窃取するなど、巧妙化している。20年11月には官民で中小企業対策などを進める組織が発足し、トップを務める遠藤信博NEC会長が「あらゆる企業や機関が一体となって取り組み、初めて自社のサイバーセキュリティーが確保される」と訴えた。

想定外の危機が世界規模で頻発している。レジリエンスが不十分な企業は突如として経営難に陥りかねない。日本企業はリスクを先読みし、復元力を身に付ける努力が求められる。

日刊工業新聞2021年2月9日

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