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パリ万博金賞の「大花瓶」も展示。陶磁器の歴史伝える有田焼のテーマパーク

パリ万博金賞の「大花瓶」も展示。陶磁器の歴史伝える有田焼のテーマパーク

忠次館は深川製磁の歴史と今を伝える

有田焼、独自の製造方法守る

深川製磁(佐賀県有田町、内山高寿社長)は、1894年(明27)創業の有田焼メーカー。日本を代表する陶磁器ブランドとして知られる。同社が運営する「チャイナ・オン・ザ・パーク」は有田焼のテーマパークだ。上絵付け体験ができる工房や工場直営のアウトレットショップ、ギャラリー「忠次館」で構成する。

忠次館は1989年に開設した。メモリアルコレクションと、よりすぐりの商品を展示し、深川製磁の歴史と今を伝える。同館は敷地奥の木々に囲まれた丘の上に建つ。入り口までの階段左側はラベンダーガーデンとなっており、初夏には爽やかな香りに包まれる。

建物の外壁は特注のれんが造り。室内は自然光が差し込む吹き抜け構造となっている。館内には木材や鉄、真ちゅうなど経年変化の魅力を見せる材料が多く使われる。2階のカフェコーナーでは同社の器で軽食やティータイムを楽しめる。

4代目で窯主の深川一太氏は、同館開設の理由を「創業者の忠次が作った磁器や精神と同じ様式の製品を今でも作り続けているということをお客さまにお示しするためだ」と強調する。「皇室御用の品々も一般向けの製品も、1350度Cの高温で14時間窯だきを行う独自の製造方式を守り続けている」(深川氏)と胸を張る。

展示品の目玉は、1900年(明33)のパリ万国博覧会で金賞を受賞した「染錦金襴手丸紋鳳凰文様 大花瓶」。高さ約2メートルで、染め付けの藍色に上絵の金と赤という古伊万里焼の典型的な配色。窓絵として龍や鳳凰、獅子、松竹梅、菊が表される。彫り模様や陽刻も施され「有田の技術を結集した明治期の最高傑作」(同)だ。美術工芸品ファンであれば1度は実物を見ることをお勧めしたい。

1900年のパリ万国博覧会で金賞を受賞した「染錦金襴手丸紋鳳凰文様 大花瓶」

来館者は海外も含め深川製磁ブランドのファンが多い。ただ「新型コロナの影響で来館者は減った。一方で、1点数千万円クラスの特注オーダーが増えている」(同)という。

【メモ】▽開館時間=9―17時半▽休館日=火曜日(祝日の場合は営業)▽入館料=無料▽最寄り駅=JR有田駅▽住所=佐賀県有田町原明乙111▽電話=0955・46・3900
日刊工業新聞2020年2月12日

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